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第24回 舞浜までいかなくても、魔法は存在する

いい話から生まれるマジックがあります。

うちの職場でちょっといい話があった。
窓口の人が変わったら、とてもいい印象になった、という声が多数のお客様から上がったのだ。
で、その話となぜ客がいい印象をもったのかについて、大きな会議のときに話した。
反応はほとんどなかった。
私はその人の上司ではなく、ほめる立場にはなかったので、事実だけを報告したのだが、「それがどうしたのだ」ということなのだろう。

こういうちょっとしたいい話をみんなの前でほめてあげる、それをいろんな人に伝える……それだけでも、仕事のモチベーションアップにつながるし、どういうことをすればいいのか、という具体的な話を上層部から組織全体に伝えるよい機会になるというのに、そんな基本的なこともわからないのかなぁ、と思ったのだが、偉そうにいえる地位にはいないので、しかたがない。

その点、東京ディズニーリゾートでは、そんなちょっとしたいい話が蔓延している。
蔓延している、というのは、みんなが、そんないい話を作るような対応をしている、ということではない。
ちょっとでもいい話があれば、みんなの前でほめるし、他のエリアや部署にも伝える。
それがシステムとしてできあがっているということだ。
トレーニングでも、キャストの役割の例として、いくつかの「いい話」が披露される。その話を聞いた新人の多くは、
「ほんとかな」
「実際、できないよな、そんなこと」
と思うだろう。しかし、トレーニングを終えてキャストとしてデビューしてみると、「いい話」がふつうに存在していることを実感する。常に「いい話」が存在しているのだ。
現在では、すばらしい対応を行ったキャストには上司からファイブスターカードというものを渡す制度がある。手渡されたカードでプレゼントがもらえたり、特別なパーティーに参加することができる。
また、昔からあるスピリット・オブ・東京ディズニーリゾート。キャスト同士で推薦して頑張っている人を表彰する制度である。(以前はネームタグにつける特別なバッジをもらえたが、今は?)
そうして、キャストとして長く働いていると、自然に自分も魔法使いになっていく。

「いい話」は、キャストのモチベーションを上げる大きな力となっているのである。

いい話の具体的なことは……と、ここであげたいのだが、その多くはスタンダードではないし、「裏話」「裏方の話」に近く、私のサイトに合うものではない(本当か)
キャストや、その場に居合わせたゲストにとっては「マジック」「いい話」であっても、それ以外の人にとっては、必ずしも「マジック」とはならない。
たとえ、いい話であっても。
私が知っている一番いい話は、キャストと遠足で来た高校生とのトイレの中での出来事なのだが、完全なバッドショーなので、きっと書かない。

……ほぼ毎日のように「いい話」が生まれているのに、公式に語られることはほとんどないのは、スタンダードを第一とするテーマパークの存在、そしてマジックと「いい話」は相容れないことが多いからなのだ。

ディズニーに関する本には、パークでのいろいろな「いい話」を引用してホスピタリティーについて説明するものがあるが、システムなどの話はともかく、「いい話」で何を参考にしようというのだろうか。
「ええ話やな。うちでも、同じようなマインドをもって……」
などと思って読んでいる人がいたら、それはもう終わっていると思う。
「いい話」なんて、実はあちこちに存在しているものなのだ。あなたの会社でも、あなたのお店でも、あなたの遊園地でも。

ただ、いい話を見つけるだけでは「感動した」「いい話だね」で終わってしまう。個人レベルでは充分だが、それを仕事に応用しようというなら、ポイントは、そのいい話をいかに見つけて、磨いて、まわりのみんなに「いい話やな」と思わせることにあるのだ。
いい話と周囲の認知……それは確実にモチベーションのアップにつながっていく、安上がりで効果的な方法なのである。

……そういいながら、実は誉めるのは苦手で、誉められるのは嫌いな私。そんな私からは、たとえいい話があっても、マジックは生まれないのさ。

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