サイトのご案内

「TDRの影を踏んで」は、「すいーぱーのホームページ」というサイトの一部のコーナーです。
そのため、ここの更新はかなり不定期ですし、最近はサイト自体の更新も「たまに」となっています。

頻繁にこちらを訪れる皆様には、そのあたりをご理解いただき、ブログの更新を気長にお待ちいただくか、サイトの方にまずは足をお運びいただければと存じます。

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第48回 みんなのTDLが消えてゆく

長いこと噂をされていた「ファンタジーランド拡張計画」が発表された。それは、誰もが予想していない、トゥモローランドの半分をつぶして拡張するという仰天プランであった。

プレスリリース

ええ、びっくりです。

私が予想していたのは、バックステージに大きく拡張されるパターンだった。人によってはアメリカ河をつぶすのではという人もいたが、まさかトゥモローランドを半分もつぶすとは想像することもできなかった。私の知る限りでは、この姿を想像した人はほとんどいなかったのではないか。そういう意味ではサプライズな発表であった。

ここで落ち着いて、改めて発表資料と公開されたアートを見てみる。

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東京ディズニーランド「ファンタジーランドの再開発」(イメージ)ⓒDisney

アナ雪のお城らしいものがあるね。世界一の大きさといわれたトゥモローランドテラスは小さな家が連なっているけれど、ショップとレストランかなぁ。。イッツァスモールワールドのあったところにはピンク色の謎のアトラクションがあるけれど、ニモとかかなぁ。
……あれ、イッツァスモールワールドは?
一部報道では移設となっていたけれど、どうなのだ。トゥモローランドホールあたりにある建物だろうか。

……つまり、現時点では具体的なアトラクションのことは何一つ発表されていない。絵にないからといって消されるとは限らない(わけないか)

現在のファンタジーランドは狭くてごちゃごちゃしており、歩きにくいし、人の流れをうまくコントロールできていない部分がある。今回の拡張でそのあたりは解消できそうだ。
でも、それによって消えるアトラクションもでてくるのだろうか。
トゥモローランドからは明らかにスタージェットとグランドサーキット・レールウェイは消えてしまうようだ。
そしてトゥモローランドが半分になってしまう。ウォルトがある意味、一番力を入れていたエリアが半分消えてしまうのだ。もう未来は見えないということだろうか。……いや、このあと、今度はトゥモローランドを広げることも駐車場の調整によっては可能だろう。

「ディズニーランドは永遠に完成しない」といわれる。時の流れの中で新しいアトラクションが現れ、エリアの形が変わるのも仕方のないことだろう。
でも、あえていいたい。

みんなの知っているTDLが消えてゆく。これが、みんなの望んだ形なのだろうか、と。

消えたものの中には、消えてはいけなかったものがあったように思うのです。

※10月31日追記
今日の情報を観る限りでは、イッツァスモールワールドのあったところのピンク色の謎のアトラクションはどうもアリス関係になるらしい。まあレストランが横にあるしね。イッツァスモールワールドはやっぱりスペースマウンテンの隣みたい。

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第47回 パークは研修場所なのか

どうも最近はさぼってしまい、なかなか文章も書けず、書いてみたら、小難しい話になってしまっているので、今回はもう少し、一般的な話を。

東京ディズニーリゾートでは「ディズニーアカデミー」という、企業・団体向けの研修・セミナープログラムを開催している。ホスピタリティ―と人材育成に関する2つのコースがあり、午前中は座学、午後はパーク内を巡って座学の内容を確認する流れとなっている。
これらのプログラムは個人では申し込めない。

「ディズニーアカデミー」はTDRの運営会社が開催し、講師も実際にキャストに対してトレーニングをしているキャストが担当するオフィシャルなプログラムであるが、一方で民間な会社等でも東京ディズニーリゾートを研修会場として研修を実施しているところがたくさんある。
いや、それだけではなく一般の企業の社内研修の場所として東京ディズニーリゾートを利用しているところも多い。
4月を過ぎると、パークには不似合いな中高年の男たちやスーツ姿の若者が集団で動き回っている姿を見ることができるだろう。もちろんオフィシャルな研修の可能性もあるが、そうでない人たちも多い。みんな「研修」である。
勝手に見て回って観察している分にはよいが、問題なのは、彼らがキャストに質問してくることがあるのだ。
「休憩はどのようにとっているのか」
「シフトはどうなっているのか」
「よく聞かれることは何か」
……などなど、何をテーマに研修が行われているかはわからないが、聞かれるキャストには迷惑なことである。

一方で「時給はいくら」とか、ゲストから現実的な質問を聞かれることもあるのは事実。そこをうまく夢に変換して回答するのもキャストの器量となっている。とはいえ、答えられないようなものは、無理して答える必要はなく「それは、広報を通じて質問ください」というのがいいようだ。

でも、東京ディズニーリゾートを研修会場とすることで、どんな効果があるのだろうか。
そこで見つけた何かと、自分たちが抱えている問題を結びつけて分析し、解答を導かなければ、結局は意味がないことである。
でもそれは、単純に東京ディズニーリゾートへ遊びに来て、何かを感じ、それと自分の仕事に結びつけて考えてみても、もし結びつけば、きっと答えは見つかるレベルの話ではないだろうか。

もちろん、研修では、講師役の人がその結びつきについて何か示唆をできれば、きっと意味のあることなのだろう。
ただ、それができる人はそんなに多くはないだろう。たとえば、キャストの行動の一つがどのようなマニュアルに基づき、それがどのような思想に基づき、それは何を目指しているのか、ということを明確に説明できる人はあまりいないのではないのだろうか。
オフィシャルの人はいえないこともあるので、できるとはいえない。

あ、私ももしかしたら、こうした研修プログラムの講師ができるだろうか。
この際、募集してみようか。

研修コースはいくつかできるか。

 ・ホスピタリティ―コース
 ・マネジメントコース
 ・マーチャンダイズコース
 ・清掃コース

一回目はどこかで座学。二回目はパーク。午前中は案内しながら見て回り、午後はグループに分かれてフィールドワークという感じだろうか。三回目はそれについて発表してもらい、それを講評する。……こんな研修で講師は一回当たり何十万ももらったりする場合もあるらしい。いい商売である。

ということで、私に講師をお願いしたい方、大募集。資料請求された方にはくわしい研修案内と見積書をお送りします。基本は3回ですが、ご事情に合わせて1日でできるコースの設定も可能です。
興味のある方は、まずは資料請求。こちらへメール…………ええ今日は4月1日ですからね。よろしくお願いしますよ。

……それはともかく、オフィシャル以外、いやオフィシャルも含めて、こういった研修はしょせん、ディズニーのテーマパークという他人の褌を使って商売をしているにすぎない。

それを承知で参加するのもよいでしょう。でもけっして、役には立たないと思いますよ。あのパークはさまざまな仕組みと思いが重なってうまく回っているのであって、その一部だけを知ったとしても、それがいったい、何の役に立つのでしょうか。

ああ、でも、私の知らない何かを学べるのかもしれない。今度参加してみようかな(やな参加者になること、間違いないが)

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第46回 TDRをテーマにした論文は

また今度といって、ずいぶん時間がたってしまった。
大学院に入学ときには、TDRの事例研究を通じたホスピタリティ関する論文を書くつもり満々であった。自分でいうのもなんですが、いろいろなことを知っているし、文章だって、そこそこ書けるんです……といううぬぼれがあったのだ。
しかし、その自信はすぐに打ち砕かれた。
学術論文はエッセイやビジネス本みたいなものとは違い、学術的な研究成果を理論的に述べた文章である。そのためには、証明する材料……簡単にいうと証拠が必要なわけだ。それは先行研究だったり、自ら調査した結果が必要となってくる。

証拠……私はいろいろと知っているが(笑)、それは証拠にはならない。私は知っている、だけではだめなのだ。
例えば、「東京ディズニーランドにシンデレラ城がある」というのは事実であるし、誰でも確認できることだから断定的に書くことができる。
しかし「東京ディズニーランドのシンデレラ城の地下には●●がある」という●●は、一般には公開されていない部分であり、公式情報には一切ないため、「●●があるといわれている」という程度しか書けない。書くとしたら、確実な文献などの証拠が必要となるだろう。
TDRに関して引用できるものは、ディズニー社やオリエンタルランドが発行している文書やホームページ、あるいは関係者のオフィシャルな発言である。元関係者の発言や書籍がどの程度「証拠」となるかはケースバイケースであるが、論文での引用として使う場合は注意が必要なものであろう。

引用する上で一番よいのが、論文である。
しかし、CiNiiという、日本の論文を探すサイトで検索しても、ディズニーに関する論文はほとんどないといってよい。
それには以下のような理由があり、私が書くのを断念した理由にもつながっている。

一つには、なぜTDRを論文のテーマとするのか、ということである。卒業論文レベルであれば、興味があることをまとめました、でも許される(たぶん)。実際、そういった卒業論文は多いようだ(前に何度か大学生の方から質問もらいもした)。
しかし、学位論文、学術論文となるとそうはいかない。1企業、1施設であるTDRを研究してその結果を社会に還元できるのか、ということだ。つまり「結局TDRだから、すごいんだよね」という結論では論文にならないのである。例えば、「カストーディアルは清掃だけではなく歩くインフォメーションであるように、キャストの接客がリピーターの増加につながっている」というような、どこでも聞くようなことであっても、論文の場合は、カストーディアルが一日平均何人のゲストと接しているか、とか、ゲストの顧客満足との相関といったようなデータがなければ論文とはならない。そしてそれが、TDR以外でも適用可能でなければ、意味のないものとなってしまう。

また、他の遊園地との比較分析なども考えられるが、「キャストのホスピタリティが高いから」ということをもどうやって比較することができるだろうか。

そう、TDRに関する論文が書けない一番の理由はデータがないのである。
OLCのサイトには様々なデータが公開されており、株主向けの資料には分析なども書いてある。原因と結果……因果関係や相関関係を外部の人間が見つけることは至難の業である。データがなければインタビュー調査やアンケート調査という方法もあるが、OLCは研究調査に関して基本的には協力してくれない。(そういうスタンスだそうです)
事例調査(パーク内を自分で観察してその結果をまとめる等)という方法もあるが、それがどのような効果を出しているかは推測の域を出ないものになるだろう。
(OLCはもちろん、「ゲストロジー」という言葉があるように、独自の分析に基づいてさまざまな施策を実施しているので、内部にはデータが山積みとなっている。もちろん絶対に公開されることはない)
だからこそ、世の中にある数少ないディズニーに関する論文は、関係者か、事例調査、なんらかの方法で調査したデータをもとに書いたものしかないのである。

別の言い方をすれば、世の中にディズニーに関するさまざまな本は存在するが、体験か伝聞、引用レベルであり、エビデンスははっきりしないものなのである。(関係者が書いたものも具体的なエビデンスがないものは多いが、それは企業秘密にひっかかるからと思われる)

一方で、「テーマパークの施設経営」という本がある。これは著者の研究成果をまとめた本で、内容的にはどうというものではないが、修士論文のエビデンスにOLCの元アルバイトの証言と社外秘であろう文書内容を記載している。これは……いや、何もいうまい。

というわけで、TDRを研究対象にするのは難しいですよ、ということを学生のみなさんに言いたい、ということでした。

ディズニーの施策をまねしたいという人は、これを読んでみてください。

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第45回 テーマ性の意味

東京ディズニーランドのアドベンチャーランドにあるザ・ガゼーボで「おでん」(ホットポット(おでん)¥500)を販売することになったようだ。そう、レストラン北斎ではなく、アドベンチャーランドのザ・ガゼーボである。
テーマパークとは「テーマパーク(Theme Park)は、日本では、特定のテーマ(特定の国の文化や、物語、映画、時代)をベースに全体が演出された観光施設を指す」とウィキペディアでは書いてあり、大枠としては違うという人はいないだろう。東京ディズニーランドも「夢と魔法の王国」という大きなテーマのもとに、各ランドごとにテーマに分かれて構成されているものである。

しかし、アドベンチャーランドとおでん……食べ物については、テーマ性を考えなくてもよいのだろうか。

たしかに現在パーク内を見渡すと、食べ物に関してはテーマ性が希薄になっているかもしれない。

そもそも、開園当初からウェスタンランドではハングリーベアレストランでカレーが販売されている。もちろんアメリカには存在しない店舗であるが、運営会社側とアメリカ側による話し合いにより、あえて設置したといわれている。これ以外についてはレストラン北斎で和食を提供することにして、あとはテーマ性を重視し、洋食を主体にした食べ物の提供をしてきた。
開園当初からゲストからの質問に「ラーメンが食べられるところはないか」といったものがある。ゲストからすればどこでも販売しているものなので、当然ディズニーランドにもあるという意識からの質問なのだろう。ラーメンは当初販売する店はなく、「申し訳ございませんが、ラーメンは……」とキャストは答えていたものだ。テーマ性として中華に関するものがないので当然であるともいえる。ラーメンはその後、アドベンチャーランドにチャイナボイジャーという店を作り、そこで提供するようになる。ゲストからの強い要望に応えるためであり、オリエンタルというイメージに合う場所というところで、アドベンチャーランドに作ったわけである。その結果。中華系のものも提供できるようになったのだ。

しかし、今回のおでんはどうなのだろうか。レストラン北斎で提供すれば、テーマ性としては問題ないだろう。しかし、ガゼーボである。ここでは、今までスープという形でさまざまな国の料理が提供されている。ボルシチやおかゆといったものもあった。しかし、おでんはスープとして許容できるものなのか。おでんはまさしく、日本人にとって日本の冬の料理ではないのだろうか。
東京ディズニーランドのマニュアルには、各ランドごとのテーマ性につい定義されており、それに基づいて建物やアトラクションの設定、ショップの運営やキャストの対応などが定められている。そのマニュアルとの整合性はどうなっているのか。アメリカ側はどうして認可したのか。
もちろん、アメリカ側は硬直した運営ではなく、日本側の意向を極力取り入れた対応をしている。近年はとくにそうである。日本だけではなく、パリにおいてはディズニーランドでもワインの販売を認めたり、香港でも各ランドで中華料理を提供している。
イベントにしても日本では七夕を実施しているし正月は和テイストが高いものとなっている。
それにトゥモローランドでは、いつの間にかご飯ものも販売されている(未来の食事なのかも?)

あれ、テーマ性って何?

お弁当の持ち込みを禁止したオフィシャルな理由は「たとえばウェスタンランドでおにぎりを食べている姿は雰囲気に合っていない。テーマ性の維持に協力いただくために禁止している」とキャストになったときのトレーニングでは習ったような気がするが、でも調べたら、衛生管理だとか他の客の迷惑になるためなどという説明が現れたけれど、結局なに?

……と、話は少しずれてしまったが、テーマ性の維持は実は絶対ではないということだけはわかるだろう。
では何が重要なのか、ということはあえていわない。

おでんの販売が波紋を広げたのは、単なる日本の食べ物ということではなく、コンビニでも販売されているような日本の庶民的な食べ物であったからだろう。カレーライスやラーメンも日本人にとっては日常的な食べ物だが、もともとは中国やインドを発祥とした多国間に広まるものであり、なんとか説明できるものでもある(原理派にとっては強引だと思うだろうが)。
別の言い方をすれば、非日常性を売りにしているディズニーランドで、日本人にとってもっとも日常的な冬の食べ物を販売したことが、私も含めて「あれ、なんで」ということになったのではないだろうか。

おでんの販売については、「パークは永遠に完成しないということから食の面でも何か新しいものを提供できれば」ということだからだそうな(テレビでOLCの広報がしゃべっていた)。

ようするに、ディズニーのテーマパークでは、テーマ性といいながら、食べ物や商品、イベントについては必ずしも当てはめずにアメリカ以外の地域では必要に応じて「例外」を展開していたわけである。それは日本でも同じだ。それは主に収益の問題からであり(あ、いわないっていったっけ)、売れるのであれば原理原則はひっこむのだ。

おでんは一店舗で販売される商品の一つであり、それ自体に大きな売り上げが期待されるわけではない。ただ、おでんというものが販売されるということ自体が、テーマ性という呪縛から、東京ディズニーランドの新たな変化を象徴しているのではないだろうか。

……酒も飲めないのにおでんなんて販売してどうする、ということで嘆いているわけではない。
……おでんは大人気のようである。運営会社のマーケティングの勝利であり、同時にゲストにとってはテーマ性や非日常性というのは、実はあまり重要ではないともいえるのだろうか。

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第44回 論文「東京ディズニーリゾートのホスピタリティに関する一考察」

東京ディズニーリゾートに関する論文を執筆した。今回はその第一章について掲載する。

「東京ディズニーリゾートのホスピタリティに関する一考察」

第1章 はじめに

東京ディズニーリゾート(以下、TDRとする)は、どこへ向かうのか。これは、長きにわたってサービス業界の内に根を張ったように動かない問いである。日本の景気は低迷し続け、人口も減少に向かいつつある中、TDRはテーマパーク業界、いや娯楽業界の中で圧倒的な強さを見せている。しかし、それがいつまでも続かないことは運営会社であるオリエンタルランド(以下、OLCとする)自身も理解していることではなかろうか。

こうした状況に対して、OLCが何も方策を実施していないわけではない。45歳以上へのアプローチ、キャンパスデーパスポートなどの若い世代への訴求強化など既存の顧客の取り込み強化に動いている。経営的な視点でいえばキャッシュフロー経営を掲げて、重厚なキャッシュフローによる幅広い選択肢を持つことによって経営基盤強化とさらなる投資の原資を確保しようとしている。リピーターの確保と継続的な投資は避けては通れない行為なのである。

では、テーマパークでもっとも重要なものは何だろうか。施設設備であろうか。キャラクターであろうか。それとも、さまざまなエンターテイメントであろうか。もちろんそれらは前提としては重要だろう。しかし、施設設備に力を入れていた長崎ハウステンボス、キャラクターがそろったサンリオピューロランド、エンターテイメント豊かなユニバーサルスタジオ・ジャパンは成功例といえるのだろうか。

昨今出版されているOLC元社員によるディズニー系統の本では、TDRの一番の強みは「従業員(以下、キャストとする)」であり、彼らが提供するホスピタリティであることを強調している。しかし、彼らの多くは経験をもとに述べているだけであり、科学的実証が行われたわけではない。そもそも、キャストの対応がよいというだけで、年間2500万人以上の人が一つのテーマパークを訪れるのだろうか。第一、経験も人間性も違うキャストが全員同じレベルのサービス、ホスピタリティを提供できるはずはなく、全員が本に記されているような対応ができるはずもない。それでも、TDRが提供するホスピタリティによって毎年多くの顧客をリピートさせているとしたら、他のテーマパークとは違う対応がなされているとという仮説を立てることができる。

本研究では、TDRにおけるホスピタリティの特徴を明らかにし、入場者数や売り上げとの相関関係を考察するものである。あわせて、テーマパーク全体における提供すべきホスピタリティを特定することを目的とする。

第2章では、TDRをはじめとするテーマパークの経営環境を概観し、テーマパークの構成要員を検討するとともにその人材管理手法、組織的特徴を明らかにする。第3章では、テーマパークの先行研究からTDRの現状と比較し、、とくに福島文二郎氏の著述をフレームワークにホスピタリティのあり方に関する議論を検討する。また、テーマパークにおけるホスピタリティとは何かを定義していく。第4章ではTDRの集客や売り上げに影響を与えているホスピタリティの仮説を提示し、事例調査とその結果を述べる。さらに、第5章では調査結果に基づいてTDRのホスピタリティを分析し、第6章では、結論としてTDRのホスピタリティから見るテーマパークに必要なホスピタリティと今後の課題を述べる。

……もうおわかりだと思いますが、4月1日に記述したものなので、当然こんな論文は存在いたしません。この「はじめに」もそれらしくは書いてありますが、構成からしてでたらめなので参考とかにしないでね。

本当はTDRに関する論文を書きたかったのですが、諸般の事情で断念いたしました。それについてはまた今度。

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第43回 あなたの笑顔にお会いするために

東北地方太平洋沖地震では、東北地方を中心に大変な被害となっている。一方で、その被害はまだ確定しておらず、日々被害が明らかになっている。今の時点で書こうかどうか迷ったが、このサイトの主題であり、根本である場所が閉鎖されており、逆に今書かなければ、いつ書くのだ、と思ったので、書き記します。

東京ディズニーリゾートは、東北地方太平洋沖地震の影響のほか、計画停電に伴い電力供給が安定しないなどの外部環境もあり、地震のあった翌日から無期限の休園となってしまった。
当初はパーク内の被害も軽微であり、3月21日をめどに再開を模索していたようだが、計画停電に伴い舞浜地区も停電するようになったことや交通機関が乱れていること、そして何よりも浦安市内の被害が思った以上に大きかったことが要因だろう。

地震によって駐車場や舞浜駅周辺、本社やパーク周辺の道路などが液状化現象によって泥だらけになったり、地割れや段差発生などがあった。パーク内でそういった被害がなかったのが意外なほどである。

舞浜地区の液状化は以前から懸念されていたことであった。地盤沈下は開園当初からあちこちで確認されていたことである。詳細は資料を提示できないので書けないが、何回かマスコミでも報道されたはずだ。パーク内でも開園から10年程度は水回りなどでいろいろと苦労もあったと記憶している。
これまでも震度4程度の地震でも、パーク内の施設に亀裂が走ったり、一部水飲み場やトイレなどの水回りに異常が発生したり、お城てっぺんのアンテナが曲がることもあった(あれは台風のせいだったかな)
埋立地に作られたため、ある程度のことは当然想定されているだろう。以前に行われたシンデレラ城の大改修も地震対策であったという話もある。
パークのある部分はもともと浅瀬の中の陸地の部分だったという説もあるが、公式発表によると、徹底的な土壌改良の結果だという(でもそれだと、なぜ駐車場やパーク周辺はは液状化したのだろう)

それはともかく、キャストにはトレーニングの中で、地震などの災害時にどのような対応をするのか、というトレーニングは行われている。ただ、私が働いていたときは基本的には入社時だけなので、自分が働いていたときに地震があったらどうなっていただろうか。(昨今では年に何度も訓練をしていたそうだ。)
私のころは、最悪の場合は、ゲストを園外に避難させる計画になっていた。バックステージも使って、速やかに園外に避難させることになっていたが、今回の対応はパーク内にゲストに待機していただく対応にしたようだ。
ただ、安全が確認できていないため、建物の外にいてもらったようだ。
電車も動かないため、長時間の屋外待機……途中で屋内に入ってもらったようだが、春休みの時期でもあり、平日にも関わらず、多くの人が結局は帰れず、パーク内で一晩明かすことになってしまった。
対応を聞くかぎりでは、想定外だった部分もあるかもしれないが、フロントラインのキャストががんばったのは間違いない。内心では不安もあっただろうし、家族の安否が確認できない状況だっただろう。それでも的確に対応したのは、やはり「キャスト」として演じている部分が大きかったかもしれない。多くは災害対応のマニュアルなど頭になかったはずだが、キャストという立場で何ができるのか、ということで、対応したのだと思う。そういう意味では、ディズニーのキャスト教育が有効に機能したといえるだろう。
本来であれば渡してはいけないはずの「ゴミ袋」や段ボール箱を寒さしのぎに渡したのも、「SCSE」のうちの安全を優先した結果だ。
ネットで公開されている映像でも、地面に座り込んで途方に暮れるゲストに対して「何か困ったことがありましたらお申し出ください」といい続けるキャストの声も聞こえた。
売り物のお菓子を放出したり、火が使えない中、現在ある材料で炊き出しをしていたのは、マニュアルの範囲だが、それでも園内に留まるしかないゲストにとっては、ありがたいことだっただろう。
細かいところでは小競り合いやクレームなどもあったみたいだが、全体としては混乱なく、安全にゲスト対応ができたといえる。

今回パーク内の施設損傷は軽微であるという運営会社からの発表がある。その日には多くのゲストがいたにも関わらず、被害に関する話がほとんど出てきていないところを見ると、間違いないことだろう。
しかし、今回は直下型、あるいは東京圏を中心とした地震ではなかったために、この程度の被害で済んだともいえる。
開園当初からずっと危惧され、論議され、準備もしてきたことが、今、現実になったのだ。それも、想定していた直下型地震ではないことによって……あえていえば、想定よりもずっと小規模な、遠い場所の地震によって、危惧していた帰宅難民が大量に発生し、施設は一部傷つき、ライフラインが破損した。そして想定してしなかった電力の長期的な供給不安定まで発生してしまった。自然災害等による長期の閉園も想定しているはずだが、運営会社は現状をどのように乗り切ろうとしているのだろう。

運営会社側は否定しているが、4月上旬にはパークの運営を再開するという一部報道もある。2万人近くのアルバイトは一部給与保証がされるともいわれているが、とくに専業で働いている方にとっては死活問題である。パーク関連の企業にとっても経済的損失は大きく、旅行業界も困っているという。
運営会社自身も、以前のような地震債券は発行していないが、金融機関との間で特殊な契約を結んで、必要に応じて速やかな融資が行われることになっているが、舞浜集中型の経営なので、長期休業はやはり苦しいはずである。
利害関係者、そしてパークを愛する多くの人が東京ディズニーリゾートの再開を望んでいるのは間違いない。

ただ、パークがある浦安市内は液状化で大きな被害があった。上下水道に大きな被害があり、今でも大変な思いをしている方々が多い。とくに、パーク周辺の住宅街がそういった状態である。

震災の被害、原発の問題、計画節電、そしてパークのある地元の被害……そういった外部環境の中で、パークの運営を再開して、「非現実」を作り出すことができるのだろうか。
非現実を作り出すことができなければ、そこはもう、夢と魔法の王国でも、冒険とイマジネーションの海でもない。単なる娯楽施設である。

あなたの笑顔にお会いするために
東京ディズニーリゾートは
ただ今お休みをいただき、
皆様をお迎えする準備を進めております

とても素晴らしい、前向きなコピーだと思う。
運営側の論理だけではなく、笑顔で遊びに行ける人たちによって、テーマパークが成り立っているのだということを運営会社も理解しているのだと思いたい。

地震当日対応されたキャストのみなさま、お疲れ様でした。

そして、今回の震災で被害にあわれた皆様にお見舞い申し上げると同時に、亡くなられた方々に心から哀悼の意を表します。
今回の震災で被災された皆様、笑顔で東京ディズニーリゾートへ遊びに行けるときがまた近いうちにくることを私は信じています。

追記:2011年4月15日に東京ディズニーランドが再開しました。そして2011年度は2534万7000人(前年同期比1万9000人減)。下半期は過去最高だったそうな。株価もうなぎ昇り。すごいですね。

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第42回 マニュアルと人の想いとの間に

遊園地でまた大きな事故が起きてしまった。東京ドームシティの死亡事故のことである。
以前、「マニュアルどおりの行動は」で書いたことと、ほぼあてはまるような事故であった。
以前にだいたい言いたいことは書いたので、最初は書く予定がなかったのだが、あるコラムを読んで、なんとなく主張しないといけないような気がしたので、続編のような形で書く。

あるコラムとは、

このままでは日本から遊園地がなくなってしまう!?
事故は社員でなく、アルバイトだから起きたのか

である。
コラム全体を読めば、なんで社員にさせないのか、といっているのではなく、マニュアルを整備して仕組みをつくるだけではだめで、安全に対する人の想いが重要なんだけれども、その思いはぶれることもあるから、しっかりとした仕組みの中で安全に対する意識を高めなければいけない、という趣旨だ。それは問題ない。賛成である。

気になったのは、ここだ。

「ちなみにテーマパーク(遊園地)単独では、毎年ダントツ日本一を記録する東京ディズニーリゾート(ディズニーランド、ディズニーシー合算)の年間入園者数は、2581万人(同)だ。同社を運営しているオリエンタルランドは、昨年までキャストと呼ばれるアルバイト数をホームページ上で公開していたが、約2万人いる従業員の約9割が高校生や大学生を中心としたアルバイトだ。つまり私たちがディズニーランドに行って接する人たちの10人に9人はアルバイトということになる。
 むしろ、アルバイトを雇わなければ運営も運行もできないのが遊園地の実態ではないのだろうか」

たしかに今のパークで正社員はほとんどいない。末端のキャストを指揮監督している人もほとんどはベテランアルバイトかテーマパーク社員と呼ばれる契約社員だ。
しかし、アルバイトを雇わなければ運営も運行もできないのではなく、アルバイトだけで運営することを想定して、ディズニーのテーマパークは作られているのだ。
いや、アルバイトや正社員などの雇用形態に関係なく、運営する、といった方がいいだろう。それが、あのコラムでいうところの「仕組み」だ。常に現場での実際の手順と一致させたうえで、最適化を目指しているマニュアルの運営。そのマニュアルに基づいた研修。そしてマニュアルの改善……その仕組みはとてもすばらしい。暗黙知を形式知に常に置き換えていく仕組みといってもいいだろう(詳しくはまたいずれ)

一方で、TDRといえども事故は起こる。その原因のほとんどはマニュアルどおりに作業をしていなかった場合である。そこがあのコラムでいう「人の想い」だ。モラルといってもいいだろう。TDRでは常にSCSEという行動指針を確認し、とくに安全がどうして大切なのかをいろいろな場面、あるいは仕組みの中で確認し考える機会が用意されている。
遊園地やテーマパークはどこでも「安全」が前提だ。だからこそ絶叫マシーンにも安心して乗れるし、武器を振り回す人たちを間近で見ても、無事にいられる。そうして「非日常」が形成される。「安全」はすべての前提なのだ。
それだけ重要な「安全」なのに、事故が起きる。安全に対する絶対的な神話があるディズニーのテーマパークでも事故は起こる。それも原因のほとんどは「人」。
それだけ「人の想い」というのは難しい領域なのだ。

さて、冒頭の話に戻ろう。

「事故は社員でなく、アルバイトだから起きたのか」という命題は、どの会社でも突き詰めることができるものである。

あるアパレル販売店では、あえて店員をすべて正社員にしたという。理由は、長い期間働くことが前提であるひとは、それだけ経験も積むし、改善をしていこうというモチベーションにもつながる。職場に貢献したいという想いも作られる。そういった人が接客したほうがよい結果が生まれる、という考え方からだという。

一方で、あるテーマパークでは、長期で働いているアルバイトのモチベーション低下に悩んでいるという。学生アルバイトなどは「夢がかなう場所」だとか、「パピネスへの道」だとか、フィロソフィーを真剣に受け止めて実践しようとする人は多いが、長く働いていると「毎日が初演」という言葉もむなしく、惰性で働く人も多くなってくるのだという。そういったアルバイトの人たちをどうするか(いろんな意味で)が課題らしい。

正社員や契約社員か、アルバイトかの問題ではない。
それは、たしかにそうだと思う。しかし「人の想い」という面からすると、どうなのだろうか。
アルバイトにどれだけ権限や責任があるのか。それをどれだけ認識させているのか。正社員であれば、意識が高いのか。長く働いている人は本当に経験豊富でマニュアルを把握して働いているのか。いずれ辞めることがわかっている有期採用だと、モラルは低くなるのか。正社員には責任はあるが、アルバイトは責任を感じなくてもよいのか。
……原因はそこではない。しかし、本当にまったく関係ないことなのか。

今回の事件とコラムを通じて、人材育成の重要さと困難さを改めて感じた。
もう一つはアルバイトという雇用形態の理不尽さ。学生は一時期の稼ぎと社会勉強のためには必要な仕組みだし、諸般の事情でフルタイムとして働けない人もいるだろう。でも、そうではなく、しかたのない事情でアルバイトとして働いている人もたくさんいるのだ。とくに遊園地やテーマパークでは。その人たちは「アルバイトを雇わなければ運営も運行もできないのが遊園地の実態」といわれて、どう思うのだろうか。
……でも、そんなことを表には出さずに、オンステージでは笑顔で、常に安全に気を配る「毎日が初演」のキャストが働く場所、それが東京ディズニーリゾートなのである。
今後もそうあり続けてほしいし、ほかの遊園地やテーマパークもそうであってほしい。ディズニーを模倣するなら、その部分を真似してほしいものだ。

※あのコラムには、「カストーディアルの持つチリトリの形状は、万が一ゲストに当たってもケガをしないように設計されているそうだ」って書いてありましたが、それは間違いです。厳密にいうと、ゲストにぶつからないように、狭い範囲で使用でき、なおかつキャストの体に密着させることができる造りになっている、ということです。どちらかということ、ほんとはこの記述のほうが気になったのだ。あのチリトリはそういう意味では単なるチリトリであるが、人の思いが安全につながるような形の製品を採用している、ということですな。

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第41回 帰れない場所 居られる場所

私が東京ディズニーランドのキャストを辞めてから、かなりの時間が経っている。(どれくらい経っているかはほかの記述から想像してください。少なくとも朱色のトイブルームは握っていました)

『故郷は遠くにありて想うもの』と石川啄木が詠うように、私にとっては、ある意味、東京ディズニーランドは故郷のような存在になってしまった。遊びには行けても、けっして帰ることができない場所……。
学生時代、キャストをしていた人のほとんどが思う感慨だ。

一方で、いろいろな事情、あるいは想いで、ずっと働いているという人もいる。今も働いている。東京ディズニーランド開園以来、準社員(アルバイト)として働き続けている人もいるはずだ。

この前、Aさん(仮にそうします)の勤続●●周年記念のパーティーを開くとの連絡があった。その人は専業で週5日、働いている人だ。一般的には「フリーター」に分類されてしまうのかもしれないが、勤続は長いし、準社員としては一番高い階級にいるので、時給はかなり高い。アルバイトとはいえ、各種保険も完備されているし、年金もきちんとひかれている。もしかしたら、そのへんの正社員や派遣社員よりも月給はもらっているかもしれない。
とてもよい人だし、仕事もできる。私がアルバイトしていたころにはキャストの中で指導的な立場にあった。その当時、話を聞いた限りではずっと働くつもりはない主旨のことを言っていた。いや、今もそうで「次の記念パーティーはないから」とおっしゃったと聞いている。
やはり、いろんな想いがあるのだろう。
結局、私は参加しなかった。会って、なんといえばよいのだろうか。

「おめでとう」

これが正しい声掛けなのだろうか。私のように、学生時代さらっと働いてほかで正規雇用の形で働いている人間にそう言われれ、Aさんはどう思うのだろうか。

Aさんのような人は、たくさんいるはずだ。
もちろん、いろんな事情があり想いがあって、キャストとして、アルバイトのまま働いているのはわかっている。私とほぼ同期にキャストになって、今もまだ第一線のスイーパーとして働いている人もいる。彼の実力があれば、ワーキングリードにもなれるはずなのに、スイーパーであり続けたいという思いで働いているのだ(もちろん、いろいろあるんですが)

いろんな事情や想いがあろうとも、これだけははっきりしている。パークが好きなのだ。仕事が好きなのだ。もっと条件の良いアルバイト、あるいは正社員としての雇用もあるかもしれない。あるかもしれない、と思いつつ、それでも、働いているのだ。

アメリカのパークでは、パートタイム(アルバイト)でキャストから始まって、フルタイム(正規雇用)になり、パーク運営の中心になったり、あるいは幹部となる人がたくさんいる。日本でも、準社員から契約社員、正社員になる制度が最近できたわけだが、それは超難関だ。契約社員にいたっては、契約更新に制限があり、ある程度の年数以上は更新できない。それなら、準社員として働いていたほうがまだよいのだ(同じ有期契約だが、ずっと更新されているので、簡単には契約を切ることができない、はずだから)。

こうした状況に対して運営会社は株主総会の中で「労働環境の違い」と説明した。
将来的にはともかく、今はまだ、アルバイトはアルバイトのまま働き続け、契約社員は働き続けることができるのか、あるいは契約切れになる前に正社員になれるかどうかを不安に思いながら働き続けることになるのだろう。それこそ、日本の労働環境が変わらないかぎりは。

一方で最近は、わりと「年上」のキャストを見かけるようになった。一時期、準社員雇用に年齢制限があったような気がするけれど、ああ、気のせいですね(失言)

……えっと、それはともかく、Aさんみたいな立場の人が、自信を持って働けるような労働環境の社会……というと大きすぎるので、パークであればよいと思う。もちろん、キャストとして働いているときは、そんな様子を微塵も見せない。新人もベテランも超ベテランもみんな同じキャストだ。それが建前やオンステージだけではなく、バックステージや外でもそうあればいいと思う。
それは制度だけではなく、受け止め方なのだ。

「おめでとう」

今は、がんばれといえる立場じゃないかもしれないけれど、これからも元気で悔いのない限り働けよ。
声はきっとかけられないが、そう思っている。

※今回は一部フィクションがまじっています。特定の方を想定したものではないので「わたしのことを書いたな」と思わないでくださいね。よろしくお願いします。

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第40回 不祥事続き?でも業績を伸ばす企業の秘訣は?

現在、私は大学院に通っていまして、そこで使った発表をちょっと加工して今回は書きます。

企業の不祥事は業績の悪化だけではなく、存立そのものを脅かすことになる。アミューズメント業界だけを見れば、たとえばジェットコースターの死亡事故が起きた大阪の某遊園地は結局営業再開できずに消えてしまった。あるいは同じく大阪の某テーマパークは度重なった不祥事の為に入場者が長期にわたって低迷し、立て直すのに大変苦労をした。

企業が不祥事を起こす要因、問題が頻発する要因は個々の企業、ケースによって違う部分もあるが、共通していることもある。それが、企業のフィロソフィー、企業理念がないところ、あるいは形式的なものを掲げているだけで、社員に浸透させ、あるいは経営陣が自戒し、利害関係者、顧客に対して行動で示していないところである。
(大阪の某テーマパークは今、ちゃんと掲げています)
http://www.usj.co.jp/recruit/human/index.html

しっかりとした企業理念、哲学がある企業は、それを浸透し、実践するためにさまざまな仕組みを作り、社員に問いかけ、掲げたことに沿った企業活動をしようとする。だからこそ、不祥事や人為的なトラブルとは無縁でいられるのだ。

しかし、しっかりとした理念、哲学があるにもかかわらず、度重なる不祥事、あるいは問題が発生したのに、ほとんど業績に影響を受けなかった企業がある。

それが、東京ディズニーリゾートの運営会社である。

過去3年間の不祥事・問題だけでも、以下の通りである。

2007年 1月18日 料理に賞味期限切れチーズ使用(翌日発表)
2007年 1月26日 賞味期限を超過したチョコレートを使用した商品販売(内部調査結果)
2007年 2月 9日 予約システムの不具合修理の延長に伴う受付中止(~8月まで)
2007年 3月12日 商品(食品)にプラスチック片が混入(工場検査で発覚)
2007年 5月22日 料理に賞味期限が切れた油を使用(2日後発表)
2007年12月 9日 変電所配線ミスにより26のアトラクション停止
2008年 1月 3日 アトラクションで火災発生
2008年 1月 8日 パレード中にフロートから装飾物が落下(300kg)
2008年 4月21日 賞味期限が切れた赤ちゃん用麦茶を販売
2008年11月12日 料理に賞味期限が切れた鴨肉を使用
2009年 8月 1日 法人税更正処分等取消請求訴訟敗訴、控訴へ
2010年 1月 7日 商品(食品)の賞味期限誤表示にともなう回収

……では、この間、この運営会社の業績はどうだっただろうか。

売上高(百万円)
 07/3 \344,082
 08/3 \342,421
 09/3 \389,242
 10/3 \371,414
営業利益(百万円)
 07/03 \34,110
 08/03 \31,144
 09/03 \40,096
 10/03 \41,924
経常利益(百万円)
 07/03 \30,187
 08/03 \27,510
 09/03 \38,824
 10/03 \40,758
当期純利益(百万円)
 07/03 \16,309
 08/03 \14,730
 09/03 \18,089
 10/03 \25,427

年間入場者数
 07/03 2,581.6万人
 08/03 2,542.4万人
 09/03 2,722.1万人
 10/03 2,581.8万人

さて、どうでしょう。相変わらず利益率は低いのですが、それでも、事件の影響をさほど受けていないのが読み取れるだろう。
(ここを見ている人に説明する必要はないだろうが、09/03の数字がどれも高いのは25周年だったからです)

では、なぜ影響を受けていないのだろうか。
私の分析では以下のとおりである。

  1. 自分は大丈夫だとほとんどのゲストは思ってしまう(もともとしっかりしているので、イレギュラーだと思う、ということだ。たとえば食品会社で同じような事件が起きて急に売上が減るのは「ほかも、そうかも」と思われるからである)
  2. 「OLC」と「TDR」をイコールだとは思っておらず、報道されても気づかない人が多い(というか…)
  3. あまり大きく報道されない(なぞ)

パレードの事故や法人税更正処分の話、あと、その判決文にあったマスコミ関係のお話はいろいろと興味深いのだが、ここではあえて足を踏み入れない。
それはともかく、上記のような理由で、業績に影響はなかったのだ。ある意味、信用力のとても高い企業、ブランドだといえるだろう。

さて、テーマパークの運営会社は企業理念として、以下のものを掲げている。

http://www.olc.co.jp/company/philosophy/

しかし、みなさんも知っているとおり、ここは企業理念とはべつに、ディズニーの理念、「ディズニー・フィロソフィー」が並列して存在している。
いろいろと調べてみたのだが、「ディズニー・フィロソフィー」として成文化されたものはないようだ。ウォルト・ディズニーのが遺した言葉などを使って、さまざまな具体例などを組み合わせて、観念的に伝えているもの、といえるのだろうか。

あえていうと、こんな感じなのだろうか(あえて略)

あとは、キャストの行動指針「SCSE」もそれにあたるだろう。

そう、ディズニーはしっかりとした理念があり、従業員の指針がある。従業員の指針の一番最初は「安全safety」である。「SCSE」の言葉とその意味は、あのパークで働いている人は、外部の人も含めて必ず知っている言葉である(うそだと思うなら、誰にでもいいから聞いてみてね)

それなのに、安全にかかわるような問題が起きたのはなぜなのか。

結局はシステムではなく、人なのである。

東京ディズニーリゾートはマニュアルが完備されていることで知られている。マニュアルどおりであれば、上記のような問題はほぼ100%の確率で起きないのだ。
マニュアルの話については、いつかそのうち、ということにしても、いくらマニュアルがそろっていても、研修制度がしっかりしていたとしても、人がかかわる仕事はすべて、最後はすべて人なのである、ということだろう。

ウォルト・ディズニーはこういっている。

「世界中でもっともすばらしい場所を夢見て、想像することはできる。設計し、建設することもできるだろう。しかし、その夢を実現するのは人である」

結局そういうことなのだ。

※運営会社の不祥事として挙げたものは、オフィシャルに公開しているものである。また、これは過去のものであり、それに対する対策はきちんとなされている、ということになっているというのは付け加えておく。

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第39回 極秘アトラクション計画発覚?

東京ディズニーランド、東京ディズニーシーの新アトラクション情報が公になっているが、それとはまったく違う情報を入手した。

東京ディズニーシーのロストリバーデルタにあるインディージョーンズの冒険の横に不自然なほど広い「空き地」があるのをご存じか。
実はここに、あるアトラクションが計画されている。
それが、ライオンキング「シンバズ・プライド」だ。

これはもちろん、公には発表されていない、アンオフィシャルな情報である。今回、イメージボードと模型の画像を入手することができたので、ここに大々的に公開する。

これだ。

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見ての通り、ライオンキングの世界を体験するアトラクションである。世界のディズニーパークに先駆けて、東京ディズニーシーにオープンするのだ。

……と、この記事の日付をみていただければわかるというか、勘の良い方ならもうお気づきだろう。

実はここに掲載した画像に映る模型やイメージボードは、東京・水道橋にあるとある美術系の専門学校の学生の卒業制作作品だったのだ。卒業作品展が開催されたとき、ちゃんと許可を取って撮影したものである。
見ての通り「最優秀作品」であると表彰されており、よくできたものだ。

しかしである。
ディズニーのテーマパークでは、アトラクションやお店などの建物は通常の建築物の作り方とはまったく異なる手法がとられる。

  • 最初にデザイナーがイメージを描く。ここにあるリアルなボードではなく、アニメの背景のような、絵だ。
  • それをもとに模型を作る。作る人はデザイナーなので、建築学的な配慮は一切ない。
  • その模型をもとに、建築士が模型どおりに設計図を起こす。

まあ、建築学的に考えたら、あり得ない手法でディズニーのアトラクションは作られるわけだ。一番大変なのは設計図を書く建築士でしょうし、効率という面から考えても本来ならありえない。しかし、それをやるのがディズニーであり、ほかのテーマパークと違う理由なのである。

その点からみると、今回掲載した作品は、一般的なアプローチから作られたものであり、リアリティはあっても、ディズニー独特の雰囲気がない理由はそこにあるのだろう。

ウォルト・ディズニーはこう言っている。

「世界中でもっともすばらしい場所を夢見て、想像することはできる。設計し、建設することもできるだろう。しかし、その夢を実現するのは人である」

この作品を作った人も、すてきな夢を実現してほしいものである。

※作者名とか載せたいのは山々だが、実はわからないのです。もしご本人から連絡があれば、ちゃんと載せますけど。

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