消えない刻印

カストーディアルをしたことがある人間には刻印がついている。それは動作とか、ものの考え方とか、そういう漠然としたものではなく、物理的な刻印である。

この画像を見て欲しい。
Myhand

これは、現在の私の右手。
親指と人差し指の間が膨れ上がっているのがわかるだろうか。
これは、筋肉なのだ。左手も、右手ほどではないが、同じような盛り上がりがある。
カストーディアルを経験した人……あまり短い期間ではこうならないが、ある程度働いていた人は、この部分の筋肉が異様に発達して、このように盛り上がっているはずだ。
もちろん、ふつうの人は、こんな状態ではない。
(現役、元カストーディアルの方は一般の人と比べて確かめてみましょう。一般の方も自分の手を見てみましょう)

なぜ、こんな状態になるかというと、原因はスイーピングだ。トイブルームとダストパンを使いつづけた結果、ふつうではつかないはずの筋肉がついてしまったのだ。

そして、一度ついたこの筋肉は死ぬまで落ちることはない。これが、カストーディアルの刻印なのだ。
(太って、盛り上がりが見えなくなれば別だろうが)

もう一つは日焼けの跡。
これは、元々色白だった人にいえることで、そうでない人は、それほどではないかもしれない。
とくに手の部分。半そでだったときの二の腕のあたりと、その先の手で、皮膚の色が変わっている。日焼けの跡が完全に落ちないのだ。
一方で、もともと焼けていないところは白いままなので、肌の色に格差が生じる。じっと見ないとわからない程度だが、これもきっと、一生落ちることはないカストーディアルの刻印だろう。

……肌の色はともかく、自分の手にある、この不思議な盛り上がりを見るたび、自分は東京ディズニーランドでカストーディアルとして、スイーパーとして存在していたことがあるのだと思い起こさせる。

これがツライ刻印じゃなくてよかった。もし、ツライ思い出だったとしても、一生付き合わないといけないからだ。私にとって思い起こされるものは、楽しかった、よかった思い出だけなのだ……今となっては。

私はこれから先も、カストーディアルだった人間として、ずっと生きていくのでしょう。そして、同じようにカストーディアルだったことがある人たちも。

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カストーディアルならでは

カストーディアルはキャストの中でも、独特な行動様式を持っている。パーク内で注意深く観察していれば、わかるだろう。町で見かける掃除の人や、ふつうのキャストとも違うその行動様式はカストーディアルの特徴でもある。

たとえば、有名なのは踊るようにホウキとチリトリを使って踊るように掃除をする姿。これは、ほかのところでも技についてなど、いろいろと書いているが、結局のところ、動きながらスピーディーに掃除をすることで、結果的にマスターしてしまったような動き、ともいえる。

立ったまま掃除をするカストーディアルは、けっしてしゃがまない、ともいわれている。「けっして」ではないが、地面にジュースなどがこぼれた痕があったとき、しゃがんで拭き取ることは基本的にしない。装備している紙ペーパーを地面に落として、足を使って拭き取る。いっけん、行儀が悪い、横着のように見えるこの行動は、しゃがんで拭くと、ゲストが気づかずに、しゃがんだキャストにぶつかってしまう危険性があるからなのだ。
もちろん、しゃがまないと対応できないものの場合は、周囲をよく確認してからしゃがむが。

めったにしゃがまないカストーディアルは足技もよく使う。例えば、ゲストが硬貨を地面に落としたとき。転がる硬貨を踏みつけて止めたあとに拾う。ほかにも足技はあるが、ここでは割愛。

このように安全に気をつけているカストーディアルは、清掃の資機材の使用でもいろいろと見えない気を使っている。
ホウキやモップなど、先が細い資機材を使う場合、その先端を手で覆うようにつかんでカードすることになっている。先端がゲストにあたって怪我をさせないための行為だ。
チリトリやごみを回収するカートなど、ゲストにぶつかると怪我をさせるようなものをどうしても人ごみの中で使う場合が多いとき、あやうくぶつかりそうだ、と思ったときは、その資機材を自分の方にもってくる、つまり、自分の身体にぶつけることで、ゲストをお守りすることになっている。
カストーディアルは自然とやっていることなので、足などにはチリトリをぶつけたアザができることなど、生傷も多い。人ごみの中を突っ切りながら掃除をするカストーディアルならではの行動だ。

あとは、どれだけ早く歩いていても、必死に掃除をしていても、ゲストから声をかけられれば、笑顔になって答えるのもカストーディアルならではだ。

他にもカストーディアル独特な行動様式がある。それは、自分の目で見て、観察してみるのもいいだろう。(現役・元キャストは思い出してみてください)

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最速スイーパーの作り方

現在、東京ディズニーリゾートでもっとも最速のカストーディアル/スイーパーといえば、現在TDLの某ランドにいるベテランキャストである。誰だ、といわなくても、見た目でわかるはずだ。まわりのキャストに比べて、異様に動きが速い。(平日に遊びに行って探してみてください)
カストーディアルというと、すばやい動きで力強く踊るようにスイーピング……つまりダストパン(ちりとり)とトイブルーム(ほうき)で掃除するイメージがある。しかし、現在、そういったパワースイーピングを行うカストーディアル/スイーパーは少ない。

そこで、今回は力とスピードでスイーピングするための鍛錬方法について、解説します。

1.早く歩く

高速にスイーピングをするには、早く歩かなければならない。走るとだめなので、ぎりぎりバッドショーにならない程度に、大股で早く歩くこと。
簡単なことのようだが、実は難しい。
早く歩くと、ついごみを見落としてしまう。ゲストの声や困った様子に気づかない。混んでいるときはゲストを避けることが難しい。早足で歩きつづけると体力の消耗が激しい……などの理由で、簡単なようで一番難しいことなのだ。
私がキャストとなったとき、最初に指導されたことは
「ごみをちゃんと拾えなくてもいから、とにかく早く歩きなさい。そのかわり、ゲストの様子をきちんと見ること」
……今なら、ぜったいに言われないことだろうが、昔は早く歩くことが基本だったのだ。ごみを拾わなくてもいいから早く歩け、というのは、早く慣れるため、ということもあったが、すばやく動くカストーディアルの中で新人がゆったりと歩いているのはバッドショー、ということでもあった。
……今は、ごみを拾わなくてもいいから、というわけにはいかないだろうが、移動は早く歩くことを心がけ、ごみがあるたびに「立ち止まって」スイーピングする、というのが、よい訓練方法だろう。
そのうち体力もつき、余裕もでてゲストの様子やまわりも見えるようになるし、人ごみの中をぶつからずに高速で通り抜ける術が身につくはずである。

訓練をするにしても、ゲストのことはちゃんと注意してやりましょう。

2.立ち止まらない

速く歩けるようになったら、今度は立ち止まらないでスイーピングをしてみよう。現在のプラスチック製ダストパンでは難しいのだが、それでも足踏みしたり、左右に動きながらもダストパンを動かさなければ、一連の動作としておかしくない。この動作を大きく、あるいはすばやくできるようになれば、高速スイーパーの完成となる。

3.ダストパンのコントロールを正確に

鉄製だった頃は、歩くスピードにあわせながら、いかにひきずるか、がポイントだった。ひきずるだけで、ある程度ごみが拾えたのだ。
プラスチック製となった今は、ひきずるだけではごみを拾いきれないので、いかに正確な位置に下げるかがポイントになる。つまり、ごみがある地点とトイブルームを使う場所、そして、自分がもっともごみをうまくキャッチできるダストパンの位置と距離……これを常に把握しながら、ダストパンをコントロールするのだ。
こまめなダストパンの持ち上げと地面に置くタイミングと場所が正確なほど、スイーピングのスピードはあがるのである。
そのことを頭に置いてスイーピングをしていけば、ダストパンの使い方だけではなく、自分の身体……足の位置や方向などもスイーピングする瞬間のベストポジションが少しずつわかっていくはずだ。
ダストパンの位置と自分の身体の位置……瞬間ごとに変わるその位置を把握し、動いていけば、自然と身体は流れるように動き、踊っているとも見えるような身体の動きにつながるのだ。
……何か抽象的な言い方になっているが、踊るように見せようとして無理な動きをし、ごみがうまく拾えない、ということがあるだろう。そんなことをしなくても、身体とダストパンを動かしながら、いかに効率よくその場所にあるごみを掃いていくか、ということが経験でわかってくるので、そうすれば無理をしなくても、踊っているような流れるスイーピングができるということだ。
あとは、ダストパンの位置を身体から離したり、あるいは接近させたりと自在に動かしながら、自分の動きを大きくしながら、ごみを掃いていく、ことができるようになれば、完璧である。
そのためにも、ダストパンを正確に無駄な動きをなくしながら、こまめに上げ下げして使うということを心がけるのが、大切なことである。

4.トイブルームの操作を高速に

トイブルームは速く動かす。それだけである。これは高速スイーピングを目指す目指さないにかかわらず、大切なことであるが、身体で覚えていく、という以外にいいようがない。
あえていえば、ふつうのほうきのように振り子のように動かすよりも、まわすように動かした方がいい、といわれている。
あとは、ごみをダストパンに掃きいれるのではなく、ごみをトイブルームで飛ばし入れるようにして、そしてうまくダストパンに入れることができれば……それを高速で行うことができればよい。それはダストパンの使い方にも通じることである。

いかに歩くのが早くても、ダストパンの操作が正確でも、トイブルームの動きが速くないと、かっこうがよくない。
高速スイーパーを目指さなくても、トイブルームだけでもすばやく動かすことができれば、かっこいいスイーピングに見えるものである。

ただ、これは「慣れ」しかない。あまり無理をすると手首を痛めるので、注意しましょう。

5.笑顔を忘れない

どんなに高速でスイーピングをしていても、忘れてはならないのが、ゲストの存在。つい一生懸命掃除をしていると、困っているゲストや、声をかけようかどうしようか迷っているゲストを見逃してしまいそうになる。
高速でスイーピングしようとするキャストほど自分の動きとごみだけに集中してしまう。あとはゲストにぶつからないように距離をとろうとする。
その結果、一番大切なはずのゲストサービスがおろそかになってしまう。一時期、技や早歩きが禁止されたのも、こういったことが原因だ。
だからこそ、どんなに急いでいても、掃除に集中していても、ゲストの様子には注意しよう。そして声をかけられたり、こちらから声をかけるときは、笑顔になって応えよう。
慣れないうちは、ゲストがいないところで速く動くようにして、比較的混んでいるというか、ゲストの人通りが多い場所はゆっくりとある歩くのがいいでしょう。

……以上のポイントは、現在最速のスイーパーがいかにして、今のような速いスイーパーとなっていったか、を私が傍目から見て感じたこと、を元に書いてみました。

ここまで書いていうのもあれですが、私は、上記のようなパワースイーピングよりも、現在の多くのカストーディアルが行なっている落ち着いた流れるようなスイーピングの方が好きです。
でも、各エリアに一人くらいは、パワースイーピングの人がいると、にぎやかさがあって、いいな、と思います。
……ということで、こんな記事書いていうのも、なんですが、推奨はしませんよ。でも、余裕のある現役キャストの方はやってみてください。

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茶色いごみ袋

カストーディアルキャストのポケットに茶色のごみ袋がつまっている姿を見たことがあるだろうか。主にダンプ(ごみ回収)のキャストがポケットに入れていることが多い。
茶色のごみ袋(本当は名前があるけれど、今回はあえてごみ袋と呼びます)についての話をする。

東京ディズニーリゾート内にあるトラッシュカンはさまざまな形とペイントでテーマパークにふさわしく、風景に溶け込んだ存在である。その中には、ごみ箱があり、ごみ袋がかけられている。通常、ごみ袋は一枚かけることになっているが、実際は二枚掛けが基本となっている。

なぜ、二枚もかけるのか。それはスムーズにごみを回収する知恵なのである。
通常、回収用のカートにごみ箱をひっくりかえして入れる。しかし、混雑していると、そんな大きな動作をするのはゲストに迷惑である。また、ほかのトラッシュカンも含めてあふれそうな場合、短時間にごみを回収しなければならない。ごみがいっぱい入っているときは、ごみ箱をひっくり返すのも困難である。
そんなとき、ごみの入っているごみ袋を外して、そのまま回収用カートに入れれば、短時間でスムーズに回収することができるのだ。
そして、すばやく、再びごみ袋をかけて二重にする。
万が一回収している最中にゲストがごみを捨てても、もう一枚ごみ袋がかかっているので、ごみ箱自体が汚れることもない。

それなら、開園前に何重にもごみ袋を掛けておけば、ごみ袋をかけ直す必要もなく、ただひたすらごみの入った袋を回収していけばよいのだから、楽ではないか。実際、一部のエリアでは一〇枚くらい掛けているところもある。しかし、基本的にはバッドショーということになっている。

一つには、本来はごみ袋を使わないのが基本だからである。アメリカのディズニーのパークでは、ごみ袋をかけていないか、かけていても、一枚がけである。ディズニーのテーマパークでは、ごみ箱の中身も含めて、ごみがないことが普通(スタンダード)なのである。それを維持管理することが、カストーディアルの重要な仕事なのだ。ごみ袋も見栄えはそれほどよいものでもない。いや、それ自体がごみになってしまうものである。だから、なるべくごみ袋は使わない。何もかけていないごみ箱からごみを回収して、雑巾と洗剤できれいして戻す。それが本来の基本的なダンプの作業なのだ。

……とはいっても、大量のごみが発生し、回収するキャストが少ないという現状では、ごみ袋をかけざるをえない。それも、スムーズな対応をするために二枚がけが行なわれているのである。

昔……平日で入場者が本当に少ない頃は、東京ディズニーランドでも、一枚がけや、何もかけないでいるときもあったのだ。

もう一つの理由は、すばやくごみを回収して、颯爽とごみ袋をかける動作が一つのショーとなっていることである。
効率だけ考えれば、何枚もごみ袋をかけて、ごみが溜まったら袋を外して回収だけでいいだろう。しかし、それでは、単に溜まったごみを回収するのは、単なる掃除の人である。少なくとも、カストーディアルは、単なる掃除の人ではないはずだ。

ダンプの技といえば、ごみ袋の空気抜きである。……これは人によって、エリアによって違うので、一例ということで。

少し空気を入れたごみ袋を、底の四つ角につくよう置く。
上部の四つ角のうち三つ角にごみ袋をかける。
空気ができるだけぬけるように手でごみはこの内側にごみ袋が密着するように抑える。
ごみ袋の口の方を一部結んで、ごみ箱の残った角にひっかける。そのとき結び目は、トラッシュカンへ入れるときに邪魔にならないような場所にくるようにする。結び方がゆるいと、ごみがたくさん入ったときに外れてしまうので、注意。
それから、さらに軽くごみ袋とごみ箱が密着するようになでて、空気をなるべく逃がす。

私がいたランドでは、ごみ袋をかけたあとに、上部に小さい穴を開けるのが主流となっていた。昔は、常備していたステンレスのガムスクレーパーで、それがなくなったあとは、指やペンなどで穴を開けた。空気を逃すための穴である。
個人的には、そこから大きく破れることもあるし、ごみが満杯になったとき、その穴から下のごみ袋に液体などが漏れるので、このやり方は反対であったが。

もう一つは空気を入れた別のごみ袋をごみ箱に押し込んで、空気を抜くという方法もある。その応用技として、ごみの入ったごみ袋を使うという技もあるが、見た目は良くないので、お勧めしない。

……空気抜きについては、ごみの重さで空気は抜けるのだから、そんなにこだわらなくてもよいのではないかと私は思うのだが(現役のときから、そう主張していたが、少数派だった)、そんなごみ回収の仕事の細かいところにもこだわりをもつのは、やっぱりカストーディアルらしい一つのエピソードではないだろうか。

この茶色いごみ袋は、ごみを入れる袋のほかにも、本来オンステージで持ち運ぶとあまりよくないものを入れて持ち運ぶのに使ったり、いろいろな使われ方をしているのだが、それはバックステージの話なので、ここでは省略。

……スイーピングは、キャストを引退した今となっては、もうやる機会もほとんどないが、ごみ袋を張る機会がときどきある。シュレッダーにごみ袋をかけるときだ。このときは、今もカストだった当時の、すばやい手際で取り替えるので、まわりから重宝されている。好きでやっているんだけれど、もしかしたら、私はいいように使われているだけなのかもしれないが。

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カストーディアルの伝説

カストーディアルには、世間で伝説のように流れている逸話がいくつかある。でも、事実とはちょっと、いや、かなり違うことがあるのだ。ここでは、その「伝説」を破壊したいと思い、書いてみました。

●伝説その1

カストーディアル・キャストになりたての雨の朝、スーパーバイザーにくってかかったことがある。
「雨が降っているのに、なんで濡れたベンチやゴミ箱を拭かなきゃならないのですか」。
「雨が上がって、ベンチが壊れていたらどうする。ゲストが、けがをするじゃないか。ただ単に、ベンチを拭くのではなく、同時に安全を確認するのが大切な仕事だ」。

これは、昔、オリエンタルランドの新卒向け会社案内に書いてあった、キャストの逸話の一つである。もしかしたら、ほかにも、こんな話が載っているものはあるかもしれない。
たしかに、雨の日でも、開園前の作業として雨の中、濡れたベンチやゴミ箱を拭くす。今更こんなことを聞くキャストも困りものですが、スーパーバイザーの答えもまた困ったものである。雨の中でも拭くのはなぜか。それは、
汚れているからなのだ!!
雨が降っているからといって、汚れが落ちているとは限らない。簡単に説明すると、前日、パークが閉園すると、クロージング作業として、ベンチやゴミ箱を拭くのですが、夜で暗いし、さっさと帰らないと終電がなくなるということもあって、ちゃんときれいにしていない場合が多い。オープニング作業では、こうしたことも含めて、開園前に「きれい」な状態にして、ゲストを迎え入れる用意をしないといけないわけだ。
そりゃ、結果的に拭いている最中に不具合を見つけることもあるけど、安全確認のために拭くのではない!!

きっと、雨の日にも拭くのは安全点検だなんて文章を書いた人はカストじゃないでしょうね。新人研修はオープニング作業なかったかな?

●伝説その2

ディズニーランドのトイレの便器には、一つ一つ名前がついていて、トイレ掃除担当のカストーディアルは、名前を呼びながら愛おしむように掃除している。

これも、けっこう流布している話ですね。トイレ掃除をしていると、たまにゲストから、
「この便器の名前はなんていうんですか?」
なんて質問を受けたりするから、困ったものです。
カストーディアルとして、
公式に便器に名前はつけてない!!

いや、たしかに開園当初、便器に名前をつけていた人もいたようだ。ナイトカストーディアルの人の中には、今だに名前をつけている人もいるという噂も耳にします。でも、それは、一部の人が勝手に名前をつけているだけで、カスト全体で便器に名前をつけているわけではないのだ。
この話も、カストーディアルがいかにすごいかという伝説を作るために、意図的にマスコミなどに流した話のようですが、事実ではないので、「あの便器はなんて名前」なんて、ゲストの方は聞かないでくださいね。

●伝説その3

カストーディアルは、自分のエリアを15分サイクルでまわり、レストルームは、45分ごとにまわって、掃除をしている。こうして、きれいな状態が持続するようになっているのだ。

ビジネス本なんかによく書いてある話である。TDLオープン当初に流れた話をそのまま引用しているとしか思えませんが、現在は時間で決まってるわけではない。、まあ、いちおう、それを目安にして、あとは状況に応じて臨機応変にということになっている、はず。仕事すればわかりますが、自分のエリアを15分おきなんかでまわっていたら、空いている日でも、あっという間にゴミだらけになってしまうのだ。
レストルームは、でも45分がいいところでしょう。混んでいるときはもっと速いサイクルで回らないと、女子レストなんかもう大変なことになってしまいますね。

●伝説その4 

カストーディアル・キャストはけっしてしゃがんだりしない。地面にジュースとかがこばれていても、紙タオルを地面に落とし、足を使ってふきとり、その紙タオルはチリトリに掃きとってしまうのだ。これは、もししゃがんでいるときに、ゲストがぶつかってしまうかもしれないからなのだ。

これは、違うとは言い切れない。基本的にはそのとおり。しかし「けっして」ではありません。
たとえば迷子を見つけたとき、カストに限らず「アイコンタクト」といって、迷子の子と同じ目線で対することになっているので、膝を地面につけて、「どうしたの」と声をかける。
また、ガムが落ちているとき、冬の場合は固まっているのでダストパンをうまく操作して経ったまま消去できますが、夏のときはやわらかくなっているので、やはりしゃがんで処理をしないといけない。
それから、カメラでゲストの写真を撮るときもしゃがみます。(しゃがまない人もいますが)
なぜか巷では「けっして」となっているので、たまにカストがしゃがんでいると「ああ、いけないんだよぉぉ」なんていうゲストがいたりするから、困ったものです。

けっして、しゃがまないわけではありませんので。

●伝説その5

カストーディアル・キャストはポップコーンをかかえた子供を見つけると、うしろからついていって、こぼすポップコーンを掃きとっていく。

これは、イメージとして多くの人にこう思われているようだ。違うとは言い切れません。やる人もいます。でも、こうしなさいとマニュアルで決まっているわけではない。混んでいるときはやりませんが、空いているときは、あきらかに危なそうな子供がいたら、自分の担当エリアから無事出るまでさりげなく、あとを追うことはする、人もいる。。

●伝説その6

パークの中で東南アジア系の外国人が子供を連れ去ろうとしたのをカストーディアルが見つけて未遂に終わったが、外国人が子供をさらうことがあるらしい。

これは、一時期インターネットや巷を中心に流れた噂……都市伝説だ。話はいろいろとバリエーションがあるようだが、内容は上のようなこと。・・・カストーディアルとは関係ないかもしれないけど、ちょっとムカツク噂だったので取り上げます。
そんなことは絶対にありません。

そんなことがあったら、いくら情報操作がうまい運営会社だって、公にする。だって、事件じゃないですか。子供が消えたとなったら、そりゃ世間は大騒ぎですよ。

この話は元の話が実はある。カストも子供も関係ない、話。でも、これはカストとは関係ない話だし、公にもなってない話なのでここには書きませんが。

●伝説その7 

カストーディアルはみんな個性的な動きで踊るようにチリトリとホウキを使って掃除をしている。これもまたTDRのショーの一部なのだ。

これって、本当は一番最初に取り上げなければならないくらい、オーソドックスに世間で言われているカストーディアルのイメージである。ディズニーランドで掃除やっていました、というと、ああ踊るように掃除するやつね、あれって訓練とかするの、なんてよく言われる。でも、カストーディアルをやったことがある人ならわかりますよね。
そんな訓練はない。

トレーニングでは清掃道具の基本的な使い方は勉強しますが、いわゆる「技」だとか、どうすればかっこよく掃除しているように見えるか、とかは、ほとんど教えてくれない。そうやって踊るように掃除をする人は、先輩から教えてもらったり、自分で考えたりして、やっているわけだ。

それにここのホームページのあちこちでも書いてありますが、最近、「踊るように掃除をする」カストーディアルはほとんど死滅している。道具が変わったこともあるし、まあ、いろいろとあって……ですから、イメージとしては今も残っているようですが、現在カストはふつうの掃除の人になってしまったようにも見える。

本当に「伝説」になってしまった、ということなのか…………。

…… と、昔書いたものを修正して載せてみたが、すでに伝説になってしまったことがほかにもあるかもしれないので、「つづく」ということにしておこう。。

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カストーディアルのエンターテイメント性

カストーディアルは東京ディズニーリゾートを掃除をする人であると同時に、エンターテイメントな存在であるともいえる。それが、ほかの「掃除をする人」と大きく違う点である。
エンターテイメントといわれる所以は、掃除をする姿……スイーピングである。トイブルームとダストパンをテンポよく動かし、踊っているようにも見えるような動作。バッドショーぎりぎりの動き。思わずポップコーンの箱をひっくり換えして呆然とする子どもの前で、一瞬のうちに「ごみ」を消し去り、新しいポップコーンを差し出す姿。
スイーピングだけではない。動きを機敏にすることにって、ごみの回収も、トイレの便器拭きも、エンターテイメントのように見てしまうゲストがいる。
その意味で、テーマパークにおけるカストーディアル「掃除の人」は、常に動きが機敏ですばやいことが求められる。それだけで、単なる掃除ではなく、エンターテイメントに見えるのだ。逆に、夢と魔法の王国で、駅の掃除の人のように、歳をとった人がゆっくりと掃除しているすがたを見せれば、それは単なる現実になってしまうということである。そういう意味では、エンターテイメントとは、見ている人を感心させる、ということが大切なのだろう。

……カストーディアルのエンターテイメント性とはそういう部分だったはずだが、スケートをはいたカストーディアル……カストーディアル・ブレードの出現によって、変化した。

カストーディアルとは似て非なるもの……エンターテイメントとしての「掃除をする人」の誕生であった。
スケートを滑らせながらのスイーピングは、実用的ではない。だが、彼らに「掃除」は期待されてはいないのだ。あくまでもパフォーマーとしての存在。すでに彼らは、本当の「エンターテイメント」になってしまったのだ。掃除をエンターテイメントにまで高めたカストーディアルとは、まったく違う存在なのである。
ふだんは普通のカストーディアルとして活動している彼らたでが、出番がくれば、スケートを履き、プロテクターを身につけ、オンステージに現れるのだ。

それだけではない。いつの間にか、「誕生日です」という子どもに、シールを上げるというサービスを始めた。カストーディアルのポケットには、たくさんのキャラクターの顔のシールが入っている。誕生日だと申告した子どもに名前を聞いて、シールに書き込み、プレゼントするのだ。そのシールを身につけると、行く先々で「誕生日おめでとう」といろんなキャストが声をかけてくれる。
子ども限定というわけではないが、本来想定したのは子ども。しかし、大人が申し出ることも多く、本当に誕生日なのかどうかもあやしいらしい。
だがこれも、いつの間にか、カストーディアルの重要な仕事のひとつとなっている。これも、掃除の枠を超えた、一種のエンターテイメントなのだろう。
その発展系なのか、手品を使ってシールを渡すというカストーディアルまで現れた。それも、あるテレビ番組で「みんなができる」とし紹介したため、かなりのカストが迷惑したようだ。だが、手品をすること自体は許されたわけで、「掃除だけ」のカストーディアルとしては、かなり異例なことである。

そんな流れの中でびっくりしたのが、2005年のハロウィンイベントのときである。いつものとおり、この期間だけの特別なパレードが実施された。それも、途中でとってショーモードに入るパターンのものだある。このときだけの振り付けも存在していた。
パレードが始まる前、ゲストの誘導を担当するキャスト……主に専属かアトラクションからの応援……がいろんなアナウンスをしたあと、振り付けの練習などをするのだが、なんと、その中にまじって、カストーディアルキャストが踊っていたのだ。

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な、なんですか?

掃除道具は何も持っていないので、単純に振り付け指導していたのだろう。もちろん自主的ではなく、業務として。

……そういう姿を見つけると、元カストーディアルキャストとしては、さびしく思う。

カストーディアルはパークをきれいに保つことを任務としたキャストである。手品やダンスといった見世物は、魅せることを任務とするエンターテイメントの人たちに任せればよいのだ。
掃除をすること……その行いや技、キャストとしての行動が結果的にエンターテイメントとなっていればよいのではないか。カストーディアルはそもそも、そういう存在だったはずである。
それがなぜ、掃除とは関係ないことによって、「目立つ」必要があるのだろう。
それくらいなら、昔のようにスイーピングの大技を堂々とオンステージで繰り広げてほしいものだ。

笑顔で掃除……これがカストーディアルのエンターテイメント、のはずである。

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冬、冷たい中で

冬のパークは海風が強く、本当に冷たく寒い。キャストも防寒具をフル装備して仕事をするのだが、カストーディアルだけは例外。冬の寒い日でも、エリアをかなり動き回るので、白いYシャツ1枚でいる人も多い。極寒でもシャツ1枚で走る駅伝ランナーと同じようなものだ。
ただ、人によっては、熱くなるほど動かない人(さぼっているという意味ではなく、体感温度はそれぞれなので)もいるので、コートを着て仕事をしている人もおり、コートの人は罪悪感に近いものを感じてしまう。……以前は、同じエリアに3種類のコスチューム点白いシャツと青いジャンパーと黒いコートがいるのはバッドショーということで、白いシャツの人がいるときは、黒いコートを脱ぐことになっていて、つらい思いをした人もいた。今は黒いコートは見かけない。青いジャンパーの下に白いセーターを着ている。
マフラーをして、軍手をして、人によってはカイロを懐にいれて……あるいは、ほかの季節以上に動き回って身体を熱くし、寒さに耐えながらカストーディアルは働いているのだ。

寒さはカストーディアルの仕事にも影響する。たとえばホージング。パーク閉園後、毎日すべての地面を水で洗い流すのだが、冬は凍結の恐れがあるため、日の出以降にしたり、エリアを細かく区切って行なう。場合によっては開園ぎりぎりとなってしまい、デイとナイトが共同で残水処理にあたることもある。
だが、雨のあとや、残水処理の遅れで地面が凍ってしまうこともある。その場合はお湯をいれたゴミ袋を凍った部分に置いて氷をとかし、拭き取る。お湯は飲食系のお店からもらうのだ。
たまに、水のみ場の蛇口が凍ってしまい、水が出ないこともある。その不具合を見つけて対処するのもカストーディアルである。

冬といえば、パークの閑散期でもある。
一部の日をのぞいて、毎日の入場者数はかなり少なくなる。それにともなって、キャストの数、勤務時間数も少なくなる。平日型の人は生活があるので優先されるが、学生が中心の土日型は週一回になることもある。
ゲストが少ないということは、パークも汚れないということなので、通常の作業は楽になる。その分、ふだん掃除ができないようなところを掃除することもある。

一方で冬は新人が多くデビューする時期でもある。
その話はこちらで。

冬といえば雪が降る。
くわしくはこちらで。
だが、最近は雪が降ってもパークは通常どおり営業しているので、真っ白なシンデレラ城を見ることができる。除雪作業も開園中に断続的に行なわれるので、見ることはできるだろう。
湿った雪の場合、回収するよりも溶かした方が早いので、ホージングで除雪を行なう場合もある。
また、昔はバックステージでよくみかけた、ミッキーの雪だるまがオンステージでも見られる。これはキャストが作っているのだが、小さな雪だるまがいくつも見ることができる。絶え間ない雪かきに飽きたカストーディアルキャストが作っているに違いない。

カストーディアルにとって冬はつらい季節だが、入場者数が少ない分ゆったりと仕事ができる季節でもあるのだ。

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キャッスルショー

今はクリスマスファンタジーの季節。パークはクリスマスの飾りで彩られ、クリスマスバージョンのパレードが行なわれ、一年で一番華やかな時期でもある。
そして、毎年行なわれるのが、シンデレラ城前の特設ステージでのショー・・・通称「キャッスルショー」だ。
キャッスルショーはクリスマス以外のイベントでも行なわれるが、最近は、困ったゲスト対策のためか、企画力の低下のためか、クリスマス以外ではあまり見られない。

それはともかく、キャッスルショーは一日だいたい3回から4回。終わるたびにカストーディアルが出動し、後処理……清掃を行なうのだ。(やっとカストの話にいくことができた)
キャッスルショーのある場所の管轄は、ワールドバザールあたりを担当するカストーディアルである。しかし、それだけでは足りないので、ウェスタンランドとファンタジーランド、場合によってはアドベンチャーランドやトゥモローランドのカストーディアルも投入されることもある。
キャッスルショーが始まると、毎日、パレードの後処理と同じように、キャッスルショーの後処理の役割がそれぞれのカストーディアルに命じられる。

ここからは、ウェスタンランドだけに焦点をしぼってお話する。

キャッスルショーはだいたい25分くらいなので、終わるだいたい5分前に、橋のウェスタンランド側に集合する。
今はわからないが、以前は、キャッスルショーを見たいと思うカストーディアルは15分前くらいから橋周辺に出欠した。といってもやることはないので、ダイヤモンドホースシューレビュー周辺を掃除しながら時間を潰しつつ、キャッスルショーを眺める、という感じだ。よく見えなくても、この周辺は声や音楽がよく聞こえるので、このあたりをただ徘徊しているだけでも、なんとなくうれしいものである。

キャッスルショーが終わると、見ていたゲストが一斉に移動を開始するので、しばらくは待機していなければならない。以前は終わった途端に突入していたのだが、あまりにもゲストが多いので、ある程度落ち着くまで動くことはできないのだ。
ヘルプの部隊は、ステージ前の道路あたりを中心に清掃を行なう。パレードの後処理と同じで、地面にはポップコーンなどのゴミが人に踏み荒らされて広がっている。
スーパーダンシングマニアなど、紙吹雪が噴射されることがある場合、ふつうにトイブルームを使ったのでは、うまく掃除することはできないので、このときは掃除機が投入される。スーパーダンシングマニアで初めて投入されたものである。機械が投入されたら、カストーディアルもおしまいだ、と思うのだが、実際、紙吹雪は掃きとるのが難しいのだから、しかたない。

ヘルプでほかのエリアを清掃するのは楽しいものである。ただ、たまに道を聞かれたりすると、かってが違うので、困る。トイレって、どこが近いのかなぁ、とか、プラザのどの店に何が売っているのかなぁ、とか。

そうやって、ゴミとゲストの質問に悪戦苦闘しながら、終了の合図が出て、自分たちのエリアに戻るとなんとなく、ホっとする。橋を渡り、赤い地面に足を踏み入れるとほっとするのだ。自分たちのいる場所に戻ってきたんだなと。

(ずいぶん前に書いた文章なので、現状とは微妙に違います。もし違っていて、現役の方から今は違うがね、という連絡をいただきましたら、この下に文章を追加していきます)

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リサイクル活動異聞

前回、株主通信の中のカストーディアルについて書きましたが、一部読者の方から現状について教えていただいたので、それもふくめて解説したいと思います。

紙コップについては、エリアによって仕分けしているところと、やらないところがあるらしい。紙コップをリサイクルして再生紙に使う、という話だったような気がするけれど、やっていないのか、徹底していないのか、どちらなのでしょう。紙リサイクル的には、あまり汚れているものは不向きなわけですが。

ペットボトルつぶしも現在はしていないらしいが、これはしかたないだろう。だって、あれだけ大量のものをいちいちつぶしていたら、ほかの仕事ができないのだ。
バックステージでは「ペットボトル、缶、瓶、その他不燃」のコンテナへ捨てているようだ。(本来パークでは、缶、瓶、その他不燃のごみは発生しないことになっているんだけれど、ゲストがもちこむから、存在してしまうんだね)
家庭ごみでまじめに分別している人から見れば「分別しないで捨てて何してるねん」と思われるでしょうが、そのあと、処分業者がきちんと分別するのです。その方法は処理業者によって違うけれど、それはもうカストの話ではないので省略。

水分の分別も最近はじめたが、どうも意味がよくわからない。たしかに、「燃えるゴミ」に水分が多いと、その分、燃焼効率が悪くなる。だが、「完全に」やっているわけでもないし、カストがそれに楽になるとか、いうわけでもない。理由はわからないが、もし、何か深い意味があるのなら、運営会社のサイトにでも紹介してくれればよいのだが。その意義も含めて。(リゾート全体に広がるかどうかは現時点では未定だが)

それはともかく、今のところTDRの環境保全活動の多くは、カストへの負担を増やしているだけにすぎない。(道具の変更も含めて)
環境に配慮するというのは、昨今の企業の社会的使命となっており、いろいろと試みているのはわかる。だが、もう少しカストーディアルの仕事に配慮する中で考えることはできないだろうか。ISO14001は、できる範囲の中で環境保全活動をすることが大きな意味をしめている。運営会社がこの規格の認証を目指すかどうかはともかく、背伸びをせずに少しずつ進めていくことが肝要ではないだろうか。

もう一ついえば、ゲストへの負担を増やすようなやり方も、「夢と魔法の王国」では似合わない。たしかに、環境に配慮していることを実感してもらうため、「お客さんにも相応に負担してもらう」というのも、一つの考え方であり、環境教育というか、啓蒙活動につながるかもしれない。

でも、「夢と魔法の王国」くらいは、ゲストには環境のことなど意識させずに、気楽に遊んでもらう工夫をしたほうがよいと思うのだが。

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株主通信の中のカストーディアル

オリエンタルランドが株主向けに発行する「株主・投資家の皆さまへ」と題した「株主通信」というものがある。テーマパークを中心とした事業解説、今後の事業展開決算情報などがカラーで紹介されているもので、もちろんTDR情報も満載なのである。といっても、それほど夢いっぱいのものではないが、ちょっとした宣伝も載っている。読み解く能力があれば、「おお、」という話も見えることがあるものだ。

2003年の株主通信の「OLCフォーラム」という株主からの質問に答えるコーナーで、こんな質問が掲載された。

「リサイクル活動の取り組みについて教えてください」というものだ。もちろん、私が出した質問ではない。

今回は、この質問に対する解答について、私なりの解説をしてみる。

「テーマパーク内での取り組みの具体例として、カウンターサービスレストランの一部の店舗において、ごみの発生を抑えるため、紙製食器を陶器やステンレス製の食器に切り替えています」

例として、食器切り替え前と切り替え後の写真が載っている。どこかは書いていなかったが、アドベンチャーランドの「ボイラールームバーベキュー」から「ボイラールーム・バイツ」に改装されたことに合わせたメニュー変更のことを例にしているようだ。
このホームページの別のところにも書いたが、ごみを大量に発生させるのがテーマパークであるとはいえ、少しでも減らそうと言う心はあるわけで、その一つが使い捨て食器を極力減らすことである。もちろん短時間に大量のゲストをさばかないといけない以上、完全に使い捨て食器をなくすことは不可能である。

そこで使い捨てのものも分別回収して、再利用につなげようした。最初に行なったのは、ペットボトルの分別回収である。これについては違うところに書いているし、遊びに行った人なら、これだけ別のごみ箱なので、知っているだろう。このほかに、2003年3月末頃から、紙コップの分別回収を始めたのだ。
ただし、ゲストに分別して捨ててもらうのではない。カストーディアルキャストが手で分別して紙コップだけを別にしているのだ。
これは、キャストに過重な負担を負わせる結果となった(今もやっているのか?)

トラッシュカンを開けて余裕があれば、ほかのごみと紙コップをその場で仕分ける。余裕がなければ、ごみを回収したあと、バックステージで選り分けることになっているのだが、それを分別するのにとにかく時間がかかる。とくに夏場は紙コップのごみが多いので、大変である。

トラッシュカンで仕分けた紙コップは、とりあえず、避けておくのだが、扉を開けるたびにくずれてしまう。それもジュースなどがついたものを置いておくので、トラッシュカン内部はすぐに汚れてしまい、何度も内拭きをしなければならないという。ほかにも作業上の弊害がかなり発生していて、何のために紙コップだけ分別しているのかがわからない。おそらく現場をしらない人たちが決めたに違いない。この方法をそのまま続ければ、夏場に破綻するのは目に見えているが、さて、どうするのだろう。(今もやっているの?)

少なくとも、こまめにトラッシュカンを開けて、ごみを引きずり出している姿はバッドショー以外の何者でもないような気がするが。
……現在は水分も分別する方向になっているようで、水分分別専用のトラッシュカンも設置されはじめているようだが。

「また清掃を担当するカストーディアルキャストが使用するコスチュームやチリトリなどの道具は、再生プラスチックやPET樹脂等の再生品を利用しています」

冊子には、男性のカストーディアルキャストの姿が掲載されている。解説はないが、見たところはトゥーンタウンのキャストではないだろうか。

再生品を利用しているということについては、やはりこのホームページのほかのところで述べているので詳しくはいわない。コスチュームやダストパンはペットボトルの再生品であるが、この分別回収でもカストーディアルキャストは苦労しているようだ。バックステージではペットボトルをすべてつぶしているようだが、そのためにキャップを一つ一つとっているのだ。パークでペットボトルを飲んだら、捨てるときはキャップはとって普通のトラッシュカンに捨てましょう。(今はそうでもないみたいだが、どうなの?)

「東京ディズニーリゾート全体では、商品運搬用の段ボールや飲食店から出る食材廃棄物、ディズニーリゾートラインの乗車券を再利用するなど、さまざまなリサイクル活動を行なっています」

分別は世間の流行りなのだが、果たしてどこまでやる必要があるのか、そんなことをすることによって何がどの程度よくなるのか、実際は分からないことが多い。やっていること自体が大切という意見もあるが、それにしてはカストーディアルの負担は多いような気がする……。
テーマパークはアメリカの大量消費社会の縮図であり、リサイクルには限度があるはずだ。リサイクルが悪いとはいわないが、ゲストの夢を壊したり、サービスを阻害してまで行なう必要はない、と私は思う。

……と、2003年当時に書いた文章をちょっと直して載せてみたが、今はどうなのだろう。

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カストーディアルの技 その1

カストーディアルといえば「技」。あえて避けてきた話題ですが、このたびベテランの元キャストの方からの情報提供受けて、少しだけ書いていこうと思う。今回書くのは、トイブルームとダストパンを使った大技系です。
……大技だけあって、現在パーク内ではほとんど見れないものばかりですので、カストーディアルの人にせがんだりしないでくださいね。
(文章で書くのでわかりにくいのですが、知らない人は想像力をはばたかせて、知っている人は懐かしく思い出しながら読んでください)

●レシート浮かし
落ちてるレシートをトイブルームの穂先、幅の広い面で軽く叩くとレシートがトイブルームに吸い寄せられるように舞い上がる。これをうまく浮かせながらトイブルームでダストパンに誘導する。応用としては、トラッシュカンへ誘導することもできる。

●たばこの吸殻
タバコの吸殻が落ちているとき、たばこのフィルター部分をダストパンの口の先で抑えるようにおくと、吸殻はそのままダストパンの中に入っていく。

●トイブルーム飛ばし技(その1)
今では見かけない、というか禁じ手となったようだが、ゲストに写真撮影を依頼されたとき、周囲にダストパンとトイブルを立て掛ける場所がない場合、「人」みたいな形でダストパンにトイブルームをたてかける方法があった。
写真撮影後、普通はダストパンとトイブルームを両手で持って、何事もなかったようにスイーピングをするのだが、左手だけでダストパンとトイブルームの柄を同時に掴み、強く握るとトイブルがダストパンの柄と当たってる所を支点にして上の方に跳ね上がる。
うまくいけば、トイブルームは3メートル近くも跳ね上がるので、それを右手でキャッチする。

●トイブルーム飛ばし技(その2)
トイブルームの穂先を手首のスナップをきかせて地面に叩きつける。すると、反動でトイブルームが回転しながら跳ね上がるので、それをキャッチする。

●トイブルーム拾い(その1)
たまにトイブルームを地面に落としてしまうときがある。それを拾うときに穂先を左足で踏み、右足は柄と地面の間に挟みこんで軽くあげると、柄があがるので、それをつかむ。

●トイブルーム拾い(その2)
穂先を左足で踏み、右足かかと部分、靴に柄をかける。左足をはずして、慎重に、そして一気に右足をうしろにふりあげる。すると、トイブルームは空中に飛ぶので、それをキャッチ。うまくやれば、トイブルームはきれいに回転しながら飛びます。

●トイブルーム拾い(その3)
落ちたトイブルームの柄の方をダストパンにいれ、そして、一気にダストパンを蹴りあげる。トイブルームが飛ぶので、それをキャッチ。ただし、うまくやらないと、水平に飛んでいってしまうので注意。

……今回、トイブルームの飛ばし技をたくさん書きましたが、もちろん現在はすべてオンステージでは使用禁止の技です。よいこの現役カストーディアルは、バックステージで試してみましょう。(昔も禁止、だったかな)

もちろん、技というのはたくさんある。今回はその一部、それも文章にしやすいもの紹介したが、機会があれば今後もたまに紹介していきたい。
こういうところででも紹介しないと、技はどんどん消えていくだろう。規制がきびしいこともあるし、技を知っているベテランがどんどんいなくなっている状況もある。
また、鉄製のダストパンにくらべると、プラスチックのダストパンは、技をするうえでは使い勝手がよくないので、自然と使えるものも少なくなるのだ。

技の伝承、といったら大げさだが、私のサイトの目的のひとつでもあるので、なんとかしたいと思う。

……今回は元ベテランキャストのBUNNYさんからの情報提供を元に書かせていただきました。技の画像や動画、解説文章など、みなさまの情報提供お待ちしています♪

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幻のスクイジー先導

カストーディアルにとって残水対応といえば、「スクイジー(フロア・スクイジー)」を思い出す人が多いだろう。しかし、そのスクイジーを使って、パレードの先導をしていたことはあまり知られていない。
これは、まだパレードを見るために何時間も前から場所取りするような起きていなかった当時の話である。具体的に言うと、ディズニー・クラシックス・オン・パレードを行なっていた頃、だいたい、TDL開園7年目くらいまでのことであろうか。

パレード開始直前、雨が止むというのは、よくある話である。キャストの間では、そういうことが起こると「ディズニー・マジックが起きた」と言う。どうせ雨だからと、パレード対応の準備をしていなかったキャストは大騒ぎになる。

パレードは、舞浜のピンポイント気象情報などを参考にしながら、直前まで、中止か実施かの判断を保留される。5分前でも雨が止むらしいということになれば、基本的に実施するのである。また、雲行きの状況によって、パレードを5分か10分早め、スピードも速めにして実施してしまう場合もある。
そういう状況下、パレード強行となれば、カストーディアルも全力を挙げて、濡れたパレードルートをスクイジーを使って残水処理をしようとするが、間に合わない場合もある。また、小雨が降っている中、強行することもある。
そんなとき、パレードの先頭に立って、スクイジーを持ったスイーパーが残水処理をしながら、パレードを先導をしていたのだ。

通常パレード先導は、ファンタジーランド所属とウェスタンランド所属のカスト1人ずつ、2人で行なうのだが、スクイジー先導の場合は、6人、すべてウェスタンランドのカストーディアルで行なっていた。通常のパレード先導では、たとえ小雨が降っていても雨具なしで行なうのだが、スクイジー先導の場合は、雨具・・・レインギアと呼ばれる合羽を着て行なった。

基本パターンとしては、パレード出発地点からウェスタンランドとプラザをつなぐ橋までをウェスタンランドのカスト、プラザはワールドバザールのカスト、シンデレラ城横、プラザとトゥモローランドをつなく橋から最後までをトゥモローランドのカストがスクイジーでつなぐ形をとっていた。
ただ、たまに、ウェスタンランドのカストが最後までスクイジー先導を続ける場合もあった。ウェスタンランド境までいって、さがろうとしたら「最後までいってね」と、その場所で待っている社員に指示されることもあったのだ。

スクイジー先導を行なっていたのは、濡れた地面はバッドショーだということ、ダンサーなどが足を滑らせる可能性があること、などの理由であった。

スクイジー先導は、しょっちゅうあるものではなかった。年に10回もなかったと思う。基本的にはパレード前に残水処理が終わっていればいらないわけだし、雨の中パレードを実施することもあまりなかったからである。

ここまでの話を読んで、おやっと、思った人はいるだろうか。

それは、昔のパレードの様子を知らないカスト、元カストの人はおやっと思うだろう。「残水処理したときの水はどこへ流れていくの?」

TDLの地面はだいたい微妙な角度がついている。雨が降ったとき、水がうまく排水溝に流れるようにしているのである。スクイジーは地面をなでることによって水を切り、高いところから低いところへ水を流すための道具で、排水の手助けをしているわけだ。
パレードを先導する形でスクイジーをかけていくということは、切った水はどこへいくのか。そう、すべてパレードルートの両サイドへ流していくのである。つまり、パレードを見ているゲストのいるところへ。

おいおい、シートをひいて座っているゲストがびしょぬれになってしまうじゃないか。ゲストコンプレインの嵐だぁぁ。

今ならそうなるだろう。

だが、スクイジー先導が行なわれていた頃は、シートを敷いてパレードを待つようなゲストはいなかったのだ。プラザにはいたようだけど、わざわざ待ってまでパレードを待つゲストなどいなかった。パレードが始まって、やっと人が集まり始めるような感じだったのだ。
……今では信じられないが。

だから、パレードが始まる30分前になると、アトラクションキャストやゲスコンのキャストがパレードルート全体にロープを張って、パレードルートとそれ以外の部分を区別しないといけなかったくらいである。
個人的にはこのころが一番、よかったと思う。アメリカのディズニーのパークは今もみんなこんなのどかな感じなのだ。朝からパレードの場所取りをするようなゲストなんて、いなかった……・。

話はずれたが、そういうわけで、スクイジー先導をして、雨水をゲストのいる方向へ流しても問題はなかったのだ。雨の日など、とくに、パレードを見るゲストになんて、まばらだったのだから(今では夢のような光景だが)

しかし、当時スクイジー先導をしながら思ったものである。いいのかなぁ、ゲストコンプレインこないのかなぁ、と。
いくらパレードを見るゲストがまばらだといっても、立って見ている人はいるのである。6人のスクイジーでパレードルートの残水処理をしたら、かなりの「きたない」水がゲストのいる方向へ流れていくのである。「足下にご注意ください」と何度も大声をあげながら、進んでいくのだが、だいたいのゲストはスクイジーから発生した雨水の波をまともに被って、くつはびしょぬれになっていた。

そして、だんだん、パレードを見るゲストが増えてきた。休みの日などは、シートを敷いて、座り込んでいるゲストも現れるようになった。そんな中でのスクイジー先導である。「足下ご注意ください」といったが、座り込んでいる人には意味のない注意である。
あーあ、悪いなぁ、と思いつつ、上からの命令でやれというから仕方ないのだ、と心の中で謝りながら、スクイジー先導をしたこともあった。

それからしばらくして、スクイジー先導は中止となった。

おそらく、クレームになったのだろう。
たしかに、たくさんのゲストが座り込んでいるところに、きたない雨水を流し込むわけにはいかない。

これは、パレード前のパレードルートの残水処理にも大きな課題を残す形となった。

カストーディアルの埋もれた歴史の一つである。

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清掃はすべてがカストーディアルではない

一般的に、TDRでの清掃=カストーディアル、と思っている人は多い。(カストの存在を知っている人であれば、の話だが)

このニュースを見たとき、あれ、外注しているの?と疑問に思った人もいるだろう。

『約20年にわたり、右翼団体幹部の兄が代表者だった不動産会社(浦安市)に本社社屋の清掃業務を委託していたことが分かった。不動産会社はこの清掃業務を下請けに出し、多額の利益をあげていた(朝日新聞から)』

パークのオンステージにいる、開園中のカストーディアルは、運営会社所属のキャストたちである。
しかし、清掃はオンステージだけではない。その裏側にあるバックステージの清掃はカストーディアルキャストがやっているのかというと、そうではない(今は)。バックステージを清掃しているのは、運営会社の子会社に所属する人たちである。つまり外注をしているのだ。
また、ナイトカストーディアルも外注である。指揮をとるのは、運営会社の社員だが、それに応じて清掃しているのは、子会社や外の会社の人たちである。

1983年、TDLが開園しようとしたとき、運営会社は清掃や警備などをすべて外注する方針だった。そのほうが経費も安くおさえることができるからである。当時の日本の常識としては清掃や警備にお金をかけるという発想はなかった。それに対して、アメリカ側が反対したといわれる。
「君たちは、自分の家に客を招いて歓待するのに、他人に任せるのか」(みたいなことをいったらしい)
その結果、警備も清掃も自前でやることになったのだ。

以前、バックステージも運営会社のキャストだったが、株式上場にあわせてコスト削減などの理由により子会社をつくり、そこに清掃を任せるようになった。
(昔からバックステージの清掃はおじさんおばさんばかりでしたね。……このことは、私の昔のサイトに載せた「TDLのカストーディアル誕生秘話を書けない理由」という文章の答えにつながるんですが、まあ、それは私の胸にしまっておきましょう……今は載せていないですよ)

……当然、本社の清掃業務もその子会社がやっているものだとばかり思っていた。清掃をする子会社を造ったのは、経費削減と、あわよくば外部からもパークでの清掃のノウハウをもとに、仕事をしていこう、という意図なわけだ。ということは、本社の清掃だけ外部に委託すること自体がおかしいのである。
1983年のTDL開園当時、本社社屋の清掃や、夜間の園内清掃業務などは、東京都内の大手不動産会社系のビルメンテナンス会社に委託していたが、どういうわけか、同年9月1日、本社社屋の清掃業務を切り離して……そこから、おかしくなったようだ。(今の夜間の園内清掃業務「ナイトカストーディアル」はこの会社ではない)

……ということで、今回の事件があきらかになったわけだが、この事件ひとつをとっても、運営会社は実は夢も魔法もないごく普通の日本の企業であることが『改めて』実証されたわけだ。(簡単に言うと正当な取引関係に見せかけた利益供与、の可能性……けっこうどこの企業でもある話なのだ)

埋立地をつくり、舞浜の地に「遊園地をつくる」にあたって、漁業権交渉や政治家との折衝など、いろんなことがあったのは、周知の事実であり、その中で、裏社会ともそれなりのお付き合いがあったのは、当時としては仕方のないことである。それもふくめて、そのお付き合いの中心だった高橋さんのバイタリティがなければ、舞浜にディズニーのテーマパークが完成することはなかった、可能性は非常に高いのだから。

でも、いまだにその関係の残照が残っていたのは意外であった。

本社の清掃については子会社に任せることになりそうだが、オンステージの清掃まで「外部発注」ということにならないよう、願いたいものである。

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風の強い春の日には

春一番、台風、木枯らし……強い風はカスト泣かせである。
どんなに空が透けるように青くて、暖かい日でも風が強いときは、TDRに大きな影響がある。いくつかのアトラクションが運行停止となるのだ。TDLで風によって止まるのは「空に浮かぶアトラクション」とマークトゥエイン号である。

TDSでは海を進む船関係やショーはすべて中止のようだ。花火は近隣住民の居住地の方向へ風が吹いているときはもちろん中止である。あ、もちろん中止・運行停止になるのは、それぞれによって風速などの規定はあるが、カストのこととは関係ないし、私も具体的な数字はよく知らないので、ここには書かない。

カストーディアルにとって風はまず、脱帽、つまり被っている帽子を脱ぐかどうかの決断が迫られる。以前は人によって違うのはよくないということで、脱帽も上からの指示によって一斉に行なっていたのだが、最近は個人の判断で帽子を被るか脱ぐか決められるそうだ。そのため、風のある日には、帽子を被っているキャストと被っていないキャストを見ることができ、以前の決まりしかしらない私のような人間は「バッドショーだな」と憤慨してしまうのである。

とくに風が強いと感じたときはトラッシュカンの移動を行なう。その基準は風でトラッシュカンのふたがぱたぱたと動くほどの場合である。社員が気づいて的確に指示を出してくれればよいのだが、気がついたら、風の方向を考えて、ふたがぱたぱたしない方向に回転させる。場合によっては、場所を動かしてもいい。トラッシュカンはいつも同じ場所にあるわけではなく、入場者数や天候などによって位置や数が変わるのだ。

園内各所にあるパラソルを閉じるという作業もある。これは基本的にアトラクションキャストが行なうはずだが、急ぎの場合はカストも手伝う。パラソルはただでさえ閉じにくいのだが、強い風の中閉じるのはかなり難しい作業だったりする。

風がカスト泣かせなのは、ゴミが飛んでいくからである。スイーピングしようとしてもゴミ、とくにポップコーンはころころと転がっていく。箱ごと落とされたものを処理しようとするときは、そのカストの技量が問われる。気を抜けば一瞬にしてエリア中に散らばるのだ。

プッシュブルームによるごみ集めは期待できない。集めたゴミは一瞬にして散らばるからだ。だから、プッシュを使う場合は、軽く集めて、ブッシュの穂先で集めたごみを押さえ込み、スイーパーはその中からかき出すようにスイーピングする。

また、風が強いときには禁断のダストモップが出動することもある。大きな化学モップで、地面にあるゴミを吸い取っていく。ただ、これも穂先にごみを吸い付いているだけなので、ある程度動いたら、プッシュと同じようにスイーパーはその中からかき出すようにスイーピングする。

長時間使っていると、ダストモップ自身から、糸くずのようなごみが発生するので長時間使えないのが難点だ。私はダストモップが好きで、TDLで2番使い方がうまいと、勝手に自負していたこともあったが……。(1番といわなかったのは、上がいるかもしれないから)

風の強い日に注意することは、「吹き溜まり」をこまめに掃除することである。風の方向によっても違うが、それぞれのエリアでは風が吹くとゴミが溜まる「吹き溜まり」が必ずいくつかあるはずだ。エリアは基本的に風がすべてのゴミを吹き飛ばして「吹き溜まり」に集めてくれるので、その場所を重点的に掃除すればいい。

ただ、ずっとそこにいると、ゲスト対応ができなくなったり、思わぬ物(こぼれものとか、吐瀉物とか、ポップコーンの固まりとか)を見逃したりするので、エリアはちゃんと歩いてまわる必要がある。

見逃してしまうのが、店舗などの建物の出入り口。ここも一種の吹き溜まりになっていて、大変なことになっている場合もあるので注意しないといけないが、風の強い日はとても混雑しているので、注意しないといけない。

なんか、お話というより、風の日の対応マニュアルみたいなものになってしまったが、カストにとって風の日は入場者数に関係なく忙しい日だ。雨が降って風があるときは入場者数も少なく、ゴミも雨に濡れて飛ばないが、晴れた風の日はごみとの追いかけっこになる。

風と格闘している中、風で飛んできたレシートをトイブルームを振り上げてキャッチし、ダストパンに放り込み、たまたま周囲にいたゲストから拍手が起こる……風の日だからこそできる技だってあるのだ。

朝から風の強い日、たとえナイトカストーディアルがきれいに掃除していてくれても、オープン前からエリア中が落ち葉で汚れていることだってある。それを朝から必死に掃除していくのもまた大変だ。

風はカストーディアルにとって迷惑この上ないものであるが、カストーディアルの技量、資質を問われるものでもあると思う。

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休園日

今はもうなくなってしまったが、東京ディズニーランドには「休園日」というものがあった。これは、ワールドバザールが旧大規模小売店舗法でいう「大規模店舗」に該当したため、営業時間に制限が加えられたからである。
今もあるかどうかはちょっと確認していないが、ワールドバザールの一角に目立たないように小さく、大店法が適用される旨のプレートが掲げられていた。この法律によって、年間10日ほど休まなければならない、とか、営業時間が短い日を何日も設けなければならないなどの制限があったのだ。
今は法律が改正されてそれらの規制はなくなり、営業時間は基本的に自由に設定できるようになり、毎日夜のパレードが実施できるようになったり、休園日を作る必要がなくなったのだ。イクスピアリもこの法律がなくなったから建設できたようなものである。
今回は、今はなき休園日におけるカストーディアルの活動を記したいと思う。

休園日は舞浜駅のゲートウェイには鎖がかけられ、そのまえにはキャストが立って、知らずに来たゲストに対して「今日はお休み」だといって、追い返していた。この日、キャストはあまり出勤しない。出勤しているのは基本的にメンテナンス関係のキャストだけである。休園日は普段行なえないことをするには大切な日だったのだ。
カストーディアルの場合、休みの日もあったが、基本的には休園日作業が入った。営業中はなかなか手の届かない部分を清掃するのにはちょうどよいのだ。主に平日契約のキャストがその仕事にあたった。もちろん休園日が平日だから、ということもあるが、専業で働いている人への賃金の確保という面もあったようである。

作業はUTT(ユーティリティー)作業の延長である。UTT作業とは、通常とは違ういろいろな掃除の作業、とでもいえばいいのだろうか。カスト関係の人にはわかると思うので、解説は省略。

休園日に行なうUTT作業は

主に外灯などの細かい部分の掃除。
バッシングが入っている店内にある装飾の金具などを磨く。
レストルームの洗面台の下を開けて掃除する。
建物外壁の柱の陰などふだん手の届かない部分のホコリを拭き取る。
ウェスタンランドでは、毎日ホージングできないトムソーヤ島で散水して地面を掃除する。
その他、ふだん掃除をしていないところを処置する。
もちろん、ナイト・カストーディアルが閉園後、毎日細かく掃除をしているのだが、それでもなかなか手の届かないところがある。そういったところを休園日に掃除するわけである。

いつもとは違い、音楽もなく、ゲストもいない、キャストもほとんどいないエリアはとても広く感じる。店の扉もアトラクションの入口もすべて閉められ、ポップコーンワゴンも静かに佇んでいて、その中を資器材を持ちながら歩いていると、なんだかとても寂しい。ディズニーランドにいるはずなのに、なんだか違うところにいるようである。

だいたい休園日は寒い季節に設定されているので、冷たい風が吹きつけ震えながら、外灯に梯子を立てかけて、一人が押さえ、一人はヘルメットをつけて慎重にカサを外しながら磨いていく。高所作業では必ずそうしなければならないことになっているのだ。
レストルームは、ゲストが入ってくる心配がないので、安心して掃除することができる。洗面台の下の板を外してみると、すごいことになっているので、これも慎重に拭いていく。
そうして、陽暮れ近くまでエリア内の細かいところの清掃や、バックステージのストレッジ(カストの控え場所)の整理整頓・清掃などを行なって、休園日の勤務は終了となる。

休園日がなくなったあと、それらの作業は、ナイトカストーディアルや開園中の作業の中に組み込まれていったようである。

ほかに休園日には年に一度、「スイーピング大会」をショーベースで行なっていた。これは、各ランドの代表がスイーピングの妙技を競い合うものである。最初はスイーピングだけだったが、そのうち拭きあげなど、カストーディアルとしてのさまざまな作業を組み合わせて競うものになった。休園日がなくなったあとは、開園前に行なっているようである。

そういえば、NKホールで行なっている春のサテライトも、当時は休園日に開催されていて、社員が総出で面接などにあたっていた。

休園日はゲストにとって迷惑な存在だった。舞浜駅に降り立ってみたら、TDLへと続くゲートウェイの入口にはロープが張られて通れないようになっていて途方に暮れるゲストをよく見かけたものである。CMや新聞広告でも休園日のことは頻繁に告知していたのだが、来てしまうゲストはいるわけで、出勤するキャストは申し訳なさそうに、ゲートウェイ入口に立っているセキュリティーにIDを見せて、TDLへ向かったものだ。
今は休園日がなくなったので、ゲストは安心して遊びにいけるわけだ(入場制限にひっかからなければ)

一方で、あの寂しい静かな日中のディズニーランドをキャストが味わうことはなくなってしまったわけである。仕事をしているときは、はっきりいってつまらなかったが、今にして思えば貴重な経験だったのだと思う。

休園日、オンステージでみんな大きな声で歌いながら仕事をしていたのが、懐かしい。

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カウントダウン

大晦日・・・1年で一番多くのゲストが訪れる日であり、パークの中でもっともカストーディアルキャストが多い日でもある。
今回は、朝から終夜営業していた頃、つまりメールオーダーなどでカウントダウンのチケットを販売していなかった頃の話を中心に、大晦日のカストーディアルの活躍を記したい。
(ちなみに海外のディズニーのテーマパークで終日営業をしているところはない)

今でこそ大晦日といえば、夕方一回閉園してから、カウントダウンのために特別営業として夜に再オープンしているが、以前は完全終夜営業、朝9時にオープンしたあと、次の日の夜8時までずっと営業していた。もうパークは荒れ放題。ライン数も、31日のオープンから10以上の時間帯が設定され、平日・土日型関係なく、動員できるカストはすべて配置された。

現役のカストだけでは足りず、年末が近づくと、「今年辞めた元カスト」のところにオリエンタルランドから葉書が届いた。年末年始だけでも働きませんか、というのである。今年辞めた人なら、再トレーニングなしですぐに復帰できるからである。すでに大学を卒業して就職した人などにも届き、多くの「卒業生」がこの時期だけ復帰して、エリアで懐かしい姿を見ることができたものだ(最近は現役キャストでも多いくらいなようで、そういったことはない)

一番人気があるのは「スーパークローズ」と呼ばれる夕方7時くらいから、朝の6時くらいまで働くシフトである。陽が沈んでからオンステージに出て働き、陽が出た頃に帰るわけだ。

以前の完全終夜営業のときは、クロージング作業を開園中、ゲストが往来する中、トラッシュカンの内拭きをし、ベンチなどを「ふかせていただきますのでよろしいですか」とゲストを立たせて拭いたりしていた(今の通常のクロージング作業もそうらしいが)。
それでも、きっちり清掃することはできないので、元旦のエリアは荒れ放題。恥ずかしい限りである。
今は一度閉園するので、そのあとしっかりクロージング作業をして、それから終夜営業を迎えるようであるが、やっぱり元旦は荒れ放題。見るに耐えないエリアとなっている。

この日のカストーディアルは一日大変な思いをする。完全終夜営業のときは、夜のパレードも花火もふつうに行なわれた。そのころは当日券販売が行なわれていたので、朝からチケットを手に入れてずっと滞在しているゲストも多く、夜になるとかなりの混雑となる。
それでも、今よりもいいのは、夜のパレードが終わるとパレードルートは一時的にゲストはみんな立ち上がるので、清掃ができるのだ。今のようにオープンと同時にパレードルートの占拠に殺到する状況とは違っていた。ただ、ゲストの数はいつもとは桁違いに違うので、夜のパレードが終わるとカストーディアルは総動員、2輪カートもすべて出し、それでも足りず、ゴミ袋だけを持たせたキャストを何人も用意して、パレードルートに放置されたり、ゲストから手渡される大きなゴミを回収していった(ふだんはバッドショーなのでやらない)

花火はみんな城の前で見たいらしく、多くのゲストが移動していくので、一時的にエリアは空く。そのタイミングを見計らって、総出でエリア回復に動くのだ。
そうしているうちに花火は終わり、カウントダウンパレードの場所取りにゲストは動いていく。22時くらいになれば、パレードルートはゲストで完全に埋まり、カストーディアルが動ける範囲は狭くなってしまう。いっぽうで、一年で一番多くのキャストが配置されているため、一人一人の担当エリアはかなり狭いのだ。中にはポップコーンワゴン周辺だけとか、カントリーベアシアター周辺など、本当に狭い場所が割り当てられる。しかし、だいたいのキャストはその割り当てられた場所以外にも「オーバーラップ」といいながら進出して、縦横無尽に働いている。この日ばかりは、エリアなど、あってないようなものなのだ。

そして、カウントダウンパレードが始まる。以前の完全終夜営業のときは、パレードを見に来る人ばかりではなかったので、アトラクションや飲食店系などもかなりの混雑の中で新年を迎えたものだが、今は「カウントダウン」のために来ているゲストばかりなので、ほとんどがパレードルートとプラザに殺到しているらしい。いいのか、悪いのか、その光景を見たことはないのでなんともいえないが。

パレードが停止し、一通りショーを行なったあと、恒例の「ほたるの光」をゲストもキャスト一緒に歌う。そのときはカストーディアルも作業を停止し、脇の方に移動して一緒に唱和する。カストが動き回っているとうるさいからだ。

歌の後カウントダウン・・・・・・そして新年。パークはゲストの大きな歓声があふれ、たくさんの花火が打ち上げられ、新年の派手なショーが始まる。カストも活動を再開。

ショーが終わり、パレードが帰っていくと、長時間パレードルートを占拠していたゲストが動き始める。同時にカストも集結し、後処理を開始する。しかし、長時間占拠されていただけあって、パレードルートはごみの山。カスト総動員でごみを掃きとる、というより拾いながらパレードルートを往復して、なんとかスタンダードな状態に回復する。夜なので細かいゴミはもう気にしないのだ。

後処理が終わると、みんな元の持ち場に戻る。この時間になると、ナイトカストーディアルがデイカストーディアルのコスチュームを着て登場する。このとき、ナイトはスイーパーの仕事だけをするのだが、ダストパンの持ち方は逆手だし、ゲストに何か訊かれても答えられないし、「おつかれさまです」と挨拶しても答えないし。(今はないかな)
以前は午前二時から「夜のパレード」の正月バージョンが行われたのだが、今はないらしい。ゲストに何度もパレードルートを占拠されるのは困るということなのだろうか。

一方でゲストは、休む場所を探そうとパークを右往左往する。室内レストランは満杯。シアター系アトラクションは長蛇の列。アトラクションキャストは寝入ったゲストを起こすのに苦労をする。あのミート・ザ・ワールドですら、1時間以上の待ち時間となったのだが、もう昔の話となってしまった。

カストが苦労するのは寒さである。Pコートにマフラー、支給された使い捨てカイロを懐に入れて、思いっきりスイーピングをしても、底冷えの寒さに抗することは難しい。とくに陽が出る直前がもっとも寒い。風があったら最悪である。動き回っているカストですら寒いのだから、ゲストはもっとずっと寒いであろう。だから、カストはなんどもブレークをとるので、夜中はデイ・カストの姿を思ったほど見ないかもしれない。

しかし、一番大変な仕事はレストルーム(トイレ)担当である。いつもは当日の最初に何の担当になるのか言い渡されるのだが、大晦日は事前に伝えられる。レストはこの大晦日もっとも人気のない仕事であり、言い渡されたキャストの中には本当にドタキャンする人もいるくらいである。
なるべく、ずっとレストにならないように工夫はされるのだが、カウントダウンのときにレストになるのが一番つらい。ほかのキャストは外でゲストと一緒にカウントダウンしている中、へたをすると、孤独に一人便器と向き合わなければならないからである。カウントダウンのときくらい、レストは空くだろう、と思ったら大間違いである。女子レストなどは本当に大変な混雑なのだ。レストルームにある記録表に「12/31、24時00分」とあえて書き込んで、そのむなしさを表現するキャストもいた。

こうして、寒さと混雑と睡魔と倦怠感、そしてカウントダウンの余韻が漂うパークは新年の初日の出を迎える。

疲れて座り込んだり、ベンチで毛布にくるんで寝ていたゲストに陽射しがあたる。陽はビッグサンダーマウンテンの後方くらいから上がる。同時に昨日オープンシフトで入っていたキャストがまたオープンとして出勤し、そうすると始めるのがオープニング作業である。

霜が凍り付いたトラッシュカンを拭き、ゲストにはちょっとだけ立ってもらってベンチを拭く。陽が上がることによって、汚れきった地面が浮き彫りになってしまうが、もうどうしようもない。こうして、新年はじめのパークがはじまる。
陽が昇ると帰り始めるゲストも現れるが、初詣の後に訪れるゲストもいる。一日の営業が終了するまで汚れたパークはもうどうしようもない。

大晦日、元旦は、一年でもっとも汚れている日でもあるのだ。

こうして思い出すと、ゲストとしてカウントダウンをしにいくのは勘弁してほしいが、スーパークローズとして仕事をするのなら、もう一度やってみたいと思う。レスト、は勘弁してほしいけど。

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パレード先導

昔、ウェスタンランドとファンタジーランドでカストーディアルをやっていた人に、一番の想い出はと訊いたら、おそらく多くの人は「パレード先導」と答えるのではないだろうか(かなり、昔の人だけれど)
「パレード先導」とは言葉のとおり、パレードの先頭に立ってスイーピングしていくことである。昼のパレードでは、『東京ディズニーランドパレード』、『ディズニー・クラシックス・オン・パレード』、『ディズニー・パーティグラパレード』、『ディズニー・ファンタジー・オン・パレード』、夜のパレードでは、『東京ディズニーランド・エレクトリカルパレード』で行なわれていた

パレードにカストーディアルの先導があるなんて、かなりなTDLマニアでも知らないであろう。
具体的に何をするのかというと、2人のスイーパーがパレードのスタート地点からパレードの先頭フロートが最終地点に到着するまで、パレードの先頭からだいたい10メートルから20メートルくらい先を、パレードルートの両端に分かれて歩くのである。
そして、パレードルートに落ちているポップコーンなどを掃きとっていくのだ。パレードの露払いみたいなものである。ときにはパレードを待っているゲストからゴミを渡されたり、あと少しでパレードがくるというのに、ゲストがジュースをこぼして慌てて処理したりと、けっこう大変なのだ。それも、一応「見せ物」になるため、ある程度きちんとスイーピングができないと、スイーパー本人が恥ずかしい思いをすることになる。

とくにエレクトリカルパレードのときは、パレードを撮影しようとするフラッシュで目がくらむほどであった。生涯でフラッシュをあれほど浴びる経験は、何か悪いことをするか、芸能人としてデビューでもしない限り体験できないであろう。ただ、実際ゲストはパレードに集中しているため、カストのことなんて視界にも入っていないだろうし、もし見たとしても、パレードを先導しているとは思わないかもしれない。

スタート地点で音楽が始まり、扉が開くと同時に、先導のカストーディアルも歩み始めた。昼のパレードのときは、スタート地点の大きな扉の裏から、先頭のバンドの演奏とともに、パレード音楽が始まるのをききながら、歩みを始める。

『ディズニー・クラシックス・オン・パレード』の最初の頃までは、パレード先導は6人くらいでやっていたようである。それが2人になったのは、パレードが始まる直前までパレードルートではカストーディアルが清掃活動をしているので、そんなに人数がいなくても対応できるということはあるのだろう。

パレード先導は、ウェスタンランドとファンタジーランドから一人ずつ選ばれた。パレード時には、スイーパーはそれぞれ「パレードモップ」や「パレードプッシュ」、「パレードダンプ」など、パレード終了後の後処理の役割がわりふれられるのだけれど、パレード先導は本来その一つ。ただ、パレード先導はやはり特殊なお仕事なので、毎日ささやかな一喜一憂が繰り広げられる。中には先導好きな人もいるのですが、だいたいは選ばれると「えーやだな」という人が多い。見せ物になるのがいや、ということなわけだ。でも、たとえば今日で退職するというとき、花道として「パレード先導」になることも多かった。先導は、ゲストだけでなく、カストからも注目されるので、照れくさい仕事でもあるが、ふだんはあまり目立たない(はずの)カスト一番の花形仕事といえたのだ。

エレクトリカルパレード最後の日の最後のパレードをみたとき、私はフロートよりも、先頭に立つスイーパーを見て、胸をキュンとさせたことを思い出す。

最近は、東京ディズニーシーでときどき行なわれる陸上パレードでパレード先導が復活したこともあるけれど、東京ディズニーランドでは、パレード先導はすでに滅び去ってしまったようだ。

パレードの先頭をカストーディアルが歩いたのは、パークの清潔さを正面に出すためといった部分が大きかったのだと思う。それがすでに多くのゲストに知られている今、必要ないということかもしれない。たしかに、実用的には何の意味もないものだから。

それでも、復活してほしいと思う。

ふだんは、オンステージで地味な役割をしているカストーディアルが唯一、ゲストに対してアピールできる舞台なのである。パークの清潔さを維持しているキャストとして、ある意味、一番パークが汚れるパレードで、その守護神であるということを、たとえ、ゲストが気づかないとしても、いや、気づかない存在としてでもいいから、先導させる役目を復活させてほしいと思う。

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秋は紅葉の季節

秋の東京ディズニーリゾート(TDR)は、カストーディアルキャストにとって、落ち葉との格闘の季節である。
とくに東京ディズニーランドには、数多くの樹木が植えられている。開園当初は小さかった木も、20年近くも立った今では、大きく成長し、園内の各所に心地よい日陰を提供している。木が成長していくことを見越しながら、計画的に樹木を園内に植えていたのだ。そもそも、園内にある植物は・・・というと、話も長くなるし、カストとは関係ないので、置いておいて。(昔はバックステージに、素敵なお花畑があって、そこで育てた草花や樹木をオンステージに植えているんですよ。今は子会社に委託していて、いわゆるバックステージでは栽培してはいないみたいですが)

それはともかく、園内には常葉樹、落葉樹が混在して存在している。どちらにしても、落ち葉は必ず発生するのは当然である。ふつうは落ち葉が地面に積もっても、それほど気にしないだろう。ある程度積もってから、かき集めて、たき火でもしながら焼き芋なんか、作ったりして、ということになるのだが、TDRではなぜか落ち葉の存在は許されないのだ。

簡単に言うと、TDRでは落ち葉もまた、単なるゴミなのだ。「季節がない」場所に落葉はありえない。常夏のはずのアドベンチャーランドで紅葉などあるはずがないのだ。……落ち葉があればスイーピングして取り除く。だから、パークの中にあれほど樹木があるのに、落ち葉が積もっている姿を見た人はそんなにいないだろう。
秋は落葉の季節・・・だから大変なのだ。いくら掃除しても、落ち葉はひっきりなしに落ちてくる。プッシュブルームを使って即座にかき集めても、いつの間にか積もっている。
「今日の担当は落ち葉対応ね」と落ち葉専属のカストーディアルが登場させられることもあるのだ。

秋は同時に風の強い日が多いときでもある。落ち葉が吹き飛ぶほどの風であればよいのだが、中途半端な場合、落ち葉が木の下だけではなく、エリア全体に広がってしまうことがある。そんな日は風で舞うポップコーンと落ち葉を追いかけるカストーディアルを見ることができるだろう。

最終手段として、ダストモップと呼ばれる、大きな化学モップを使うこともある。でも、これはなぜか禁じ手に指定されているので、よほどのことがないと出動を認めてくれない。ダストモップは一生懸命掃除しているように見えないから、と説明する人がいた。本当か?

それはともかく、ダストモップを使おうが、専属のカストーディアルを配置しようが、どうしようもないのが落ち葉。

落ち葉対応が一番大変なのが、意外なことにアドベンチャーランドである。なぜ意外なのかというと、あそこは亜熱帯のはずだから、落葉しないはずなんですよねぇ。でも、あそこが一番葉っぱが落ちるのです。それも一年中(笑)
秋はとくにひどい。極端に言えば、カストーディアルが一人一本プッシュブルームを傍らに置いているような状態なのだ。このランドが一番、一人プッシュしているカストーディアルが多いのではないだろうか。
落ち葉で苦労しないのは、やっぱりワールドバザールかな。
平日のゲストが少ない日にも関わらず、なぜか汗だくで一日中落ち葉に対してプッシュをかけていたこともあった。落ち葉対応って、ずっと同じところにいるから、途方に暮れてしまうんですよね。きりがないし。

落ち葉の掃除が好きだ、というカストーディアルはいないと思う。

でも、ゲストもまばらなアメリカ河沿いで、いかだ乗り場近くにある大きな木の下に積もった落ち葉を掃除しながら、ふと見上げた青空がとても透き通っていて、暖かい陽射しが降り注いでいて、自分が集めた落ち葉に視線を落とすと、秋という季節を実感したような気がした。

カストーディアルという仕事は、季節を常に実感できる仕事なのだ。

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カリフォルニアのカストを見習うべきか

毎回好き勝手なことを書いているが、ノスタルジックなことばかりではなく、たまには今のカストーディアルに対して提言的なこともしてみようかと思う。偉そうな気もするが、すでに偉そうなホームページを作ってしまっているのだから、しかたない。

提言しようなんて思ったのは、アナハイムにあるディズニーランドリゾートのカリフォルニア・アドベンチャーを訪ねたときに見たことがきっかけだった。ディズニーランドリゾートでは、夜のパレードはカリフォルニア・アドベンチャーで開催されている。あのエレクトリカルパレードだ。今、TDLで実施されているものではなく、昔、TDLで実施されていたものだ。あのシンプルな音楽、電飾だけどちょっと陰りがあるフロート、そしてサーカスのフロート……今の東京のパレードからなくなってしまったピエロの手品を見たときは感涙してしまったほどである。あのせつないサーカスの音楽が夜のパレードらしく、そしてもうすぐ閉園になるというさびしさを表していて、いい。
……カリフォルニアのパレードは、厳密に言うと、東京のフロートを使っているわけではないので、ちょっと違うところもいっぱいある。最後はイッツア・スモール・ワールドではなく、アメリカ万歳フロート?であったりして、微妙に違うところもある。

パレード終了後のことである。アメリカのゲストはパレード終わった途端に立ち上がりはしない。ちょっと余韻を楽しんでからゆっくりと移動を開始するので、パレードルートがゲストでごったがえすということがない。いい感じだね、と思いながら見ていると、カストーディアルによるパレードの後処理部隊が現れた。今まで海外のパークでパレードの後処理を見てきたが、カリフォルニア・アドベンチャーのパレード後処理は、昔……10周年前後のTDLの後処理を見るようなスピーディーで的確なものだった。……10周年前後はスピーディーにカストが動ける最後の時期だったともいえるけれど。

それはともかく、そのカストーディアルの後処理を見ていたときのことである。パーク内は東京よりも薄暗い。白人系は蛍光灯などの明るい光は苦手なようで夜はあんまり明るくない。パレード終了後も、光のフロートがいなくなった中、人々が暗い中を行き来していた。その中をちょっと輝いた集団が通り抜けていた。……カストーディアルの後処理集団である。モップと、プッシュプルームと、スイーパー、そしてダンプの7人くらいの集団である。それがパレードルートの左右を速いスピードでパレードのあとを追うように進んでいたのだ。

ああ、がんばっているんやな、と立ち止まって見ていたのだが、ふと、気がついたことがあった。プッシュプルームが光っていたのだ。よく見ると、蛍光シールがあちこちに貼ってある。

「これはいいんじゃない」と思った。

夜、パレードの後処理でプッシュプルームを使ったことがある人は感じたことがあるだろう。「あぶない」って。暗闇の中、プッシュプルームを使って、ゲストが足をひっかけるのではないかと。
もちろん、安全を第一としているので、ある程度ゲストが少なくなった段階でプッシュプルームを使う、ということにはなっていると思う。しかし、パークの中は東京もそれほど明るいわけではなく、ゲストが足をひっかけるのではないかという恐れを感じたことはあるだろう。よほどプッシュプルームの動かし方に自信がある人ではない限り、こわいと思うのではないか。
私も何回か、ひっかけたことがある。全員、同じキャストだったけれど(笑)、あぶないと思うことは、パレード処理以外でも、多い。
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話は長くなったが、プッシュプルームに蛍光シールをつけるというのは、よいアイデアではないだろうか。ごみを回収する二輪カートに蛍光するものをつけることもあったかと思う。蛍光シールを使ってより安全を目指すことができれば、いいことではないだろうか。費用がかかるわけでもなく、バッドショーにもならない。今すぐにでも導入できる話なので、検討してみてはどうだろうか。……まあ、私が言うまでもなく、すでにアナハイムで導入されているということは、東京の人たちも知っていることなのだと思うけれど。

それはともかく、アナハイムのパレード後処理では、ひさしぶりにカストーディアルの熱意みたいなものを見たような気がした。スピード感や、目配りなど、ちょっと前は海外のカストの動きの怠慢を嘆いたものだが、ひさしぶりによい動きを見たような気がした。

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夏はプロの季節

カストーディアルでもっともつらい季節は夏だろう。
連日、日中30度を越す中、カストーディアルは直射日光を受けながら歩き回らなければならない。とくに、開園から夕方まで働くキャストは大変だ。休憩を挟んだとしても、だいたい二時間は連続して日光を浴び続ける。ただでさえ暑いのに、ディズニーランドの地面(スラリー)はとくに照り返しが強く、実際の気温よりもかなり暑く感じるのだ。
そのため、脱水症状を起こし、仕事中に倒れてしまうキャストもときどきいる。(最近ペットボトル携帯が許可されたという噂を訊いたが、本当だろうか。バックステージへ帰って水を飲む方が冷たいものを飲めると思うし、ちょっとした休憩にもなるのだが)
陽射しが強く照り返しもあるということは、かなり日焼けをするということでもある。夏以外でも屋外の仕事なのでもちろん日焼けはするのだが、夏はとくに激しい。それも、肌が露出しているところだけが焼けるので、焼けていない部分との落差はかなり激しくなり、海やプールには恥ずかしくていけないくらいだ。(現役のみなさん、カストで焼けた肌の色は一生とれません。……腕の焼き色はカストだったという刻印のように)

一方で仕事は他の季節とは多少違う。チリトリ(ダストパン)とホウキ(トイブルーム)をもって、ゴミを掃く機会はあまりない。夏はポップコーンが売れないので、それほどゴミは落ちていない。
そのかわり、ジュースやアイスがかなり売れるため、反対に増えるのが「こぼれもの」である。ジュースを地面にこぼれ、一面を濡らす。
溶けたアイスが点々と痕を作る。アイスの固まりが落ちていることもある。その対応にカストーディアルは追われるのだ。リンガーセットと呼ばれる車輪のついたベールにモップ、ときには地面を擦る道具も入れて、あちこちを徘徊し、こぼれものを見つけると素早く対処する。
また、普通にダストパンとトイブルームを持ったスイーパーも、こぼれものをみつけると、ポケットに入れた紙タオルでふき取ったりして対処する……それが主な仕事になってしまうのだ。本当はトイブルームを華麗に動かして、ゴミを掃き取りたいカストーディアルにとっては、大変つらい仕事である。

ジュースがたくさん売れるということは、かさばるゴミが大量に発生するということでもある。トラッシュカン(ゴミ箱)はあっという間にゴミで溢れてしまい、ゴミ回収がなかなか追いつかない。
そこで、スイーパーは自分の担当エリアのトラッシュカンをこまめにチェックして、あふれそうだったら、中をあけて中身を整理し、押し込んで、溢れないようにするのだ。手はジュースなどでベタベタになる。ペットボトルなど燃えないゴミが捨てられていたら、取り出して、ゴミ受けの横に置いておく。
ときには、ディズニーランドに存在するはずのないものが捨てられていることもあって、うぉぉ、と叫び声を上げたくなることもある。カストーディアルは耐える仕事なのだ。

そんな作業を繰り返しながら、暑さにぐったりとしながら、汗をたくさんかきながら、ふらふらとエリアをさまよっていても、ひとたびゲストから声をかけられたら「はい、こんにちわ。どうかなさいましたか」と笑顔で応対することができるのが、プロのカストーディアルと言える人なのだ。それはベテランでもできない人はいるし、夏に入ったばかりの新人でもがんばっているキャストはいる。

この夏、東京ディズニーリゾートで、どれだけのゲストがプロのカストーディアルキャストに出会えたのだろうか。

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技が見れなくなったのは

カストーディアルといったら、「技」である。トイブルーム(ほうき)とダストパン(ちりとり)を駆使して、華麗な動きでゴミを掃き取る。その姿に憧れてカストーディアルキャストとなった人も多いはずた。
その「技」が最近見られない、カストの動きが遅くなったのではないか、という意見をよく訊く。残念ながら、それは事実である。

理由のひとつは、道具が変わったためである。以前は鉄製のダストパンで、地面に引きずってもスムーズに動いたし、ダストパンを動かすだけでゴミをとることができた。その機能を使って、さまざまな技が生み出された。だが、今はプラスチック製になったため、引きずることもできず、ゴミをうまくキャッチできないためのだ。

しかし、もっと大きな理由があった。それは過去にさかのぼらなければならない。

10周年くらいまでの東京ディズニーランドはそうではなかった。その頃まではグランドオープン以来働いていて、アメリカのキャストから直に技を教わったキャストも多く存在し、パークのあちこちで大技小技を披露していた。その弟子ともいえる後輩達も、習いながら、真似をしながら、頑張っているキャストが多かった。

当時は、アルバイトを統括する社員たちも理解があり、新人キャストにはこう指導していた。
「とにかく速く歩くこと。極端に言えばゴミなんてとれなくてもいいから、速く歩きなさい」
ベテランのカストーディアルは皆、早足で動き、素早い動作で掃き取りを行なっていた。ゆっくり歩いて、ゴミを掃き取るたびに立ち止まり、ゆっくりとトイブルームを動かすのはBad Showである、という考えからだった。だから、新人はごみをとらなくてもいいから、早く歩けといわれたのだ。

この当時も、禁じ手といわれる、オンステージではやってはいけない技というのもいくつかあった。足を使って、地面に倒れたトイブルームを空中にとばして、手でキャッチするとか、ダストパンの後ろをおもいっきり蹴り上げて、ひとまとめにゴミを取り込むといった危険性のある技は禁止されていたが、それ以外の技については、とくに何も言われなかった。

一つの転機は、あるテレビ取材だったのかもしれない。夕方のあるニュース番組が一週間にわたり、カストーディアルに関する特集を放映したのだ。(ちょっと記憶はあやふやだが、もしかしたらウェスタンランド特集だったかもしれない)その中で、一人のカストーディアルが紹介された。スピーディーに大きな動作で激しくスイーピングするそのキャストの姿が何分も映し出された。(ということは、オリエンタルランド広報はOKしたはずなのだが)
しかし、その後そのキャストはスーパーバイザーから厳重注意を受けたのだ。「カストーディアルがあんなに目立ってどうするんだ」というのだ。掃除をするキャストが、キャラクターや、そのテーマランドの”色”よりも目立ってはいけない、というわけだ。

10周年を境に、カストーディアルに対する「技」「動き」の規制が強まっていった。(ほかにも規制が強くなった部分はあるのだが、それまで書くと話がややこしくなるのでそれはいつか)

それは突然のことだったらしい。社員からこう指導されるようになったのだ。
「そんなに速く歩くな。ゆっくり歩け。新人キャストの動きに合わせるのだ」
つまり、一方で動きがゆっくりで技もできないキャストがいて、一方で派手に動いて技を次々と繰り出すキャストがいるというのは、スタンダードなサービスをモットーとするディズニーのテーマパークにはふさわしくない、ということになったようなのだ。

それでも、ベテランキャストの多くはあまり気にせず今まで通りやっていたのだが、それも年々辞めていくなどしてベテランは少なくなり、一方で新しいキャストは「ゆっくりでいいから」という指導をされているので、だんだん歩くスピードの遅いカストーディアルが増えていく。あまりやってはいけないといわれている技をどうどうと教えるわけにもいかないので、興味のある人がベテランキャストに個人的に教わる程度になったため、技の伝承者も減っていく。

そして、ダストパンが鉄製からプラスチック製のものに変更となり、技の多くが使えなくなった。

こうして、現在のカストーディアルの多くが技を使えない状況が生まれたわけである。

しかし、まだ完全に技を使えるカストーディアルが死に絶えたわけではない。今の道具なりの技を考えながら、「見せるスイーピング」を行なっているカストーディアルがいる。それが今後、どう次の世代のカストーディアルキャストに受け継がれていくか、それとも、「単なる掃除をするキャスト」になってしまうのか……それは今現在働いている人達にかかっているわけだ。

でも、個人的には今の方がいいように私は思う。多くの人が落ち着いた正確なスイーピングをしている。以前の鉄製のときは、うまい人の真似をしようと、ただダストパンを引きずりまくって、トイブルームをきちんと扱えない人がたくさんいたからだ。それは端から見ると、かっこわるかったし、引きずるときに発生する鉄の摩擦音が不快に感じるほど大きかった。それがなくなった分、わたしはよかったように思う。今のカストーディアルはみな堅実にトイブルームを動かしているからだ。姿勢さえよければ、見た目もかっこいい。

ただ、たまには「おお」と歓声を上げたくなるような技を見てみたい。大きな動作で激しく華麗なスイーピングを。だって、それがわたしにとってのカストーディアルキャストのイメージであり、その中で育った人間なのだから。

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カストは写真の専門家

ウォルト・ディズニーはいう。
「遊びに来たとき、せっかく楽しい想い出を残そうと写真を撮影するけど、写真を撮影する人が写らないのはさびしいではないか」(というような意味の話だったと思う。不正確な引用ですが)
キャストは採用されたあとの一番最初のトレーニングの中で、写真の撮影について、ディズニーの言葉を引用しながら指導される。
だからディズニーランドでは、キャストが写真を撮影してあげる、ということになったのだそうだ。しかし、個人主義というか、むやみに知らない人に荷物を受け渡すということを好まないアメリカでは、めったなことではキャストから「写真をお撮りしましょうか」とはいわない。ゲストから頼まれれば、どんなに忙しいときでも撮影するということになっている。

一方日本では、国民性を考えて、頼まれるのを待つだけではなく、積極的に「写真をお撮りしましょうか」と声をかけるようにキャストは指導されている。たとえば、家族連れが写真を撮ろうとお父さんがカメラをかかえている姿を見かけたら、声をかけなさいということになっているのだ。
もちろん、声をかけないといけないというのではなく「そういう状況で、お父さんだけ写真に入らないことをどう思う?」とキャストとして考え、その結果どういう行動をとるのか、ということなのだが。

では、ゲストの写真を一番撮影しているのは、どのキャストであろうか。セキュリティーも多いかもしれないが、一番はカストーディアルである。写真だけではなく、ゲストに一番声をかけられるキャストなのだ。なぜかといえば、一番人数が多いというのもある。もう一つは、常に移動しているので、見つけやすいということもあるだろう。ゲストの間をぬけながら掃除をすることも多いので、声をかけやすいということなのかもしれない。

カストーディアルというか、キャストとしての写真を撮影するコツをここで公開。

1,かならずしゃがんで撮影すること。
しゃがんで撮影する方が広角で撮影できる。とくに「シンデレラ城を全部いれて撮せ」という場合は有効だ。

2,大きな声で合図
「それでは、いきます。・・・・はいポーズ」という声をかけるとき、まずは左右を見渡して、人がカメラ前を横切る可能性がないことを確認する。とくに人の往来が多いところで撮影する場合は、大きな声で合図して、これから撮影することをまわりにアピールする。そうすれば、だいたいの人は足をとめて、見守ってくれる。その瞬間を使って、一気に撮影するのだ。

ちなみに、TDLでキャストが撮影する際にいう言葉は、
「はい、ポーズ」
「はいチーズ」が主ですが、
「1+1は?」「2(にこっ)」
「1+2は?」「ミッキー」
なんてものもあるようだ。

カストーディアルはついつい、フォトスポットと呼ばれる場所も清掃をするため、そこを通過しなければならない。そんなときに「写真を撮ってください」といわれ、カメラをかまえようとすると、すでに他のゲストが列を作っていたというのはよくある話である。

一番つらいのは、ワールドバザールの前、エントランスを入ったところのハブである。そこは、よくキャラクターが出てくるので、写真を撮ろうと多くのゲストがうろうろしている。その場所を担当になったカストーディアルはキャラクターの近くにはなるべく近寄らないようにはするのだが、ゴミがあればいかなければならないのがカストーディアルの悲しい性。あそこでゲストにつかまったら、キャラクターが消えるまで逃れられないらしい。

シンデレラ城前もつらいらしい。
とくにつらいのがクリスマスの時期である。シンデレラ城横、白雪姫の井戸があるあたり。わたしが知っている限りでは、クリスマスイブの夜、たまたま通りかかったカストーディアルがゲストに撮影を頼まれた。神秘的に輝くお城を背景に撮影してほしいということ。終わってふと振り向くと、ゲストがすでに自主的な列を作っていた。列はどんどんのび、ウェスタンランドとプラザをつなぐ橋まで伸びたが、夜のパレードがまもなくはじまり、じゃまになるというので、列の最後尾にゲスコンのキャストがつき「ラインカット」つまり、もう並ばないでください、という案内がでたということがあった。終わるまで1時間ちかくはかかったらしい。
アメリカ河も夜は危険である。ふだんもカップルが潜んでいるのだが、クリスマス時期はカップルだらけ。

カストーディアルの中には「撮影好き」な人もいて、声をかけまくる人もいる。声をかけられたゲストはたいがい、「お願いします」というのだが、中には「いえ、けっこうです」と断る人もいて、がっかりすることもある。たまには「写真いいですか」といわれて、カメラを渡されるのかと思ったら「一緒に写ってください」といわれて、ゲストと一緒に写ったりすることもある。
……クリスマスはちょっと避けたいのだが、写真撮影はキャストとしての仕事の中でも、楽しい仕事の一つであろう。

そういえば、いつぞやの春先、友達とインパークしたときに、こんなことがあった。
ウェスタンランドでお城を背景にデジカメで写真をとってもらうと、キャストを探したところ、カストーディアル二人組をみかけた。みたところ、先輩カストーディアルと新人さんという感じであった。わたしは、新人さんらしい人にデジカメの操作のしかたを教えて写真を頼んだ。「え、あ、はい」と見るからに慌てていたそのカストーディアルはカメラを受け取って「はいポーズ」と、撮ってくれた。
不安になって、プレビューで見たら、画像がぶれて写っていた。もう一回撮ってもらおうと、そのキャストを見たら、にこにこしながら先輩キャストに話かけていた。おそらく、初めての撮影だったのだろう。わたしたちは、何もいわずに立ち去った。

こうして、キャストは誰もが写真撮りの名人となっていくのでしょう。

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雨のエリアは

スイーパーでもっとも大変な作業といえば、雨があがった後の残水処理、拭きあげ作業だろう。スタンダードを大切にするディズニーランドでは、雨が上がった瞬間から、雨が降っていなかったかのような状態に戻さなければならないのだ。
雨がやみそうになったら、カストはバックステージに戻り、着ていたレインギア(雨具)を脱ぎ捨て、バケツにぞうきん、水切り用のガラススクイジーや雨水を吸収せるスポンジ等を持ってエリアに散る。それ以外のキャストはフロアスクイジーを持って、地面の残水処理のために出動する。

そのとき配置されているカストの数にもよるが、一番に最初に対応しなければならないのが、濡れたベンチとトラッシュカン(ゴミ箱)の拭きあげ、そしてパレードルート部分の地面の残水処理だ。

ベンチはとくに、ゲストがすぐにでも座れるために最重点に拭き上げる。ついでにトラッシュカンも拭くという具合だ。それが終わったら、手すりなどを拭いてゆく。
一方地面の残水処理はパレードルートから行なう。これは、人通りがもともと多い部分であること、パレードに対応するため、そしてなによりも、パレードルートから雨水がほかへ流れるような構造になっているためである。
ディズニーランドの地面は微妙に傾斜がついていて、各所に設置されているドレーン(排水口)に雨水が流れるようになっている。カストはフロアスクイジーを使って地面をなでることにより、排水を後押ししているわけだ。

方法論などは、べつの機会に語るとして、これらの作業は本当に大変だ。

まず、雨がいつ止むかがわからない。オープンキャストしかいないときに雨が止んだら、最悪である。少ない人数、たとえば5人くらいでアドベンチャーランドのベンチとトラッシュカンを拭きあげながら、地面の残水を行ないつつ、レストやダンプは行なわなければならないとしたら、経験者ならわかるだろうが、ブレークもとれない忙しさである。(アドベンチャーランドはとくにベンチとトラッシュカン、手すりが多いのだ)

人数がたくさんいるときでも、社員がきちんとした割り振りをしないと、誰が地面の残水処理をして、誰がベンチを拭くのか、混乱する。その間に、濡れた部分が強烈な陽射してで乾いていくこともある。

地面の残水処理は、とくに大変だ。地面には微妙な傾斜がついているといったが、これは場所によって細かく傾斜が違っている。だから、残水処理するには、どこをやってから、次はどこと順番が決まっていて、その順番通りにやらないと、残水したはずの雨水が逆流してしまうのだ。そして、自分が配属されているランド内の地面の傾斜すべてが頭に入っているカストはほとんどいない。長くやっている人でも、そのランドのメインの部分とその周辺くらいしか知らない人も多い。だから、知っているキャストが先頭になってやらないと大変なことになる。(社員だから知っているとは限らない。というか知らない)

拭きあげの場合、ゲストは早くベンチに座りたいわけで、その期待に応じなければならない。なかには濡れているベンチに座ってしまうゲストもいる。そのゲストにどいてもらいながら、ベンチを拭いていく。かなりの体力を使う仕事である。いっぽうで拭きあげに集中していると、エリアが汚れてくるのだ。

レスト(トイレ清掃担当)も大変である。レストルーム(トイレ)の前に敷いたレインマットをひきあげなければならない。かなりの重量なので、敷くのも片づけるのも大変なのだ。

悲しいのは、残水処理、拭きあげ作業の最中にまた雨が降ってくることである。今までの苦労は水の泡。降ったりやんだりという天気のときは、カストーディアルキャストの機嫌は最悪なので、声をかけない方がいいかもしれない。

一方で雨がずっと降り続いているとき、カストーディアルの作業は楽である。ポップコーンなどが売れないのでエリアは比較的きれいになるからだ。一方で仕事が単調になる。ただふらふらとエリアを歩き回るだけで、掃きとるゴミも見つからない。しかたなく、エリアの中で水がたまりやすい部分で、スクイジーやプッシュブルームを使って、ただひたすらそこの水をかき出し続けることもする。お店の中の床をモップで拭いてまわるという仕事もある。エリアの端から、ビッグサンダーマウンテンなど人気のアトラクションの入り口まで、ただスクイジーをかけるということもある。無意味のような気もするが、多少地面の水がはけているような気はする。
レストルーム担当の人は大変だ。トイレの床が濡れるので、こまめにモップで拭かないといけないからだ。

一度、雨の中、大臣が視察にきたというので、スクイジーで先導したことがあった。大臣が歩いた地面は雨も溜まってなく、すんなりと歩けたはずだ。ウェスタンランドから、スモールワールドの入り口まで。ゲストはすべてVIPやないんかい、と憤慨しながらスクイジーをひいた記憶がある。

雨の日でカストにとってうれしいこともある。それは勤務解消である。梅雨時はとくに多いのではないか。勤務解消とは、「予想より混んでないし、エリアもきれいだし、カストの数がちょっと多いなぁ」というときに、勤務予定時間より早く帰っていいよ、といわれることだ。その場合、本来働く時間で解消になった時間は、半分の時給が出る、つまり働かなくてもお金がもらえるのだ。

雨といえば、残水以外でいろいろな苦労もする。某アトラクションで雨漏りだ、とカストがその屋根裏に呼ばれて、モップでふいて、ベールを設置したこともあった。突然の夕立でびしょぬれになったまま、雨具をつけて仕事を続けたこともあった。落雷で突然停電になって急遽TDLの営業が終了したこともあった。雨の中、夜のパレードを強行して、電球を破裂させ、猛スピードで通り過ぎるフロートを見ながら、いつもよりずっと早くパレードが終わって、あわてて後処理にいったり。豪雨で京葉線が止まって、帰れなくなったり……。

今でも雨が止むと、TDLでの残水作業を思い出して、なんとなくため息をつく。

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スイーピング大会

「技」といえば、カストーディアルのもっとも輝く部分である。マニュアルとは関係なく、キャスト一人一人が日々研鑽して磨き、技を修得したり、新たな技を開発している。
今は違う形で行なわれているらしいが、以前は「スイーピング大会」というものが開催されていた。(今はスイーピングだけでなく、キャストとしてのさまざまな技を競うということで、スピールパフォーマンスといっている、らしい)
これはカストーディアルキャストの中の行事で、年に一度……毎年1月か2月、各ランドの代表者が出場し、スイーピングの技を披露、その優劣を競っていたのだ。
休園日があった頃は、その日に行なわれた。休園日がなくなったあとは、開園前の時間帯を使っているようだ。つまり、ゲストも、他の職種のキャストも見ることができない、カストーディアルだけのイベントなのだ。

スイーピング大会といわれていた頃の開催場所はショーベース(今は違うらしい)。いつもはキャラクターなどが総出演するステージの上に、このときはカストーディアルの各ランドの精鋭が立つ。出勤日ではないにもかかわらず、多くのキャストが応援に駆けつける中、大会は行なわれる。

競技は簡単。ステージ上に広がっているポップコーンをいかに速く、華麗に掃きとるかである。
……最初はそれだけだったのだが、「スイーピングだけがカストではない」という考えから、競技は追加された。あまり派手な技をやるなとか、カストは目立つな、と言われ始めた頃ですね。

ベンチと灰皿とトラッシュカンがステージに置かれた。

地面にはポップコーンが広がり、灰皿は吸い殻がいっぱい。
ジュースもこぼれていて、ベンチにも少しかかっている。

さて、あなたならどうしますか?

これはスピードだけではなく、手順や正確さなどが審査される。

私の記憶が定かではないので、正解かどうかはちょっと確約できませんが……。

最初はこぼれもの。手持ちの紙タオルでベンチを拭き、それから地面を拭く。それからトラッシュカンから洗剤を取り出し、それを使ってもう一度拭く。
それから一度紙タオルをダストパンからトラッシュカンに捨てる。
次にスイーピング、ではなく、灰皿掃除。きれいに拭き取ってから、最後にスイーピング。こぼれもの対応はみんなわかるのだが、そのあと、ついついスイーピングしてしまうため、減点になってしまう。

ちなみに解説すると、最初にベンチを拭くのは、ゲストがすぐに使えるようにするため。こまめにダストパンのゴミを捨てるのは、たくさん入ったままだと、ゲストから見えてしまうから。灰皿は見た目が汚いし、いつも、何も入っていないのがスタンダードだから。で、地面のゴミをスイーピングするのが、結果的に一番最後になるわけですね。

こうして、もっとも得点の高かったランドが優勝。カストーディアル部長からトロフィーと賞状がもらえる。それらは、自分たちのオフィスなどに飾られる。
一年間は「俺たちはディズニーランドで一番のカストさ」という誇りとともに働き、それ以外のランドの人間は「来年こそは、我らに優勝のトロフィーを」とさらに技術を磨く。

各ランドの代表は、一応社員が決めるが、だいたいは、みんなが「あいつだな」という人が選ばれる。べつにベテランとは限らない。何しろ、みんなの代表なわけだから、名誉な反面、プレッシャーにもなるので、辞退する人もおおい。
緊張して、当日は実力を発揮できず、涙する人もいるが、それを責めるようなキャストはいない。
ほかのランドのカストの華麗な動きを見て学び、もっと技を向上しようと誓うのだ。

今も違う形で開催されているようだが、どんな感じなのだろう。

アトラクションでもスピールコンテストとか、キャストの中では、日頃の技術を磨き、披露する場がある。
これが、「キャスト」が単なるアルバイト、仕事ではないという一つの表れだろう。
ゲストはそれらの行事を見ることはできないが、パークに遊びに行けば、いつでも見ることができる。結局、彼らが毎日パークで見せているものなのだから。

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除雪作業

アメリカにあるディズニーのパークと、日本のディズニーのパークの大きな違い、それは雪が降ることである。
東京ディズニーランドが開園するとき、雪への対処方法について、アメリカ側とかなり話し合ったようだ。何しろアメリカ側にそのようなマニュアルがなく、実際どのように対処すればいいか、明確な答えが出せなかったのだ。

雪は本来、東京ディズニーリゾートではBAD SHOWである。アドベンチャーランドのジャングルやウェスタンランドのアメリカ西部の街に雪など降るはずがないからだ。
かといって、雪を降らせないようにすることは、いくらディズニーマジックを駆使してもできないので、どうにか対処しなければならない。

開園当初の頃はかなりの積雪をともなう場合は、閉園時間を早めたり、開園時間を遅くしたり、あるいは事実上休園したりして、なるべく「雪化粧のディズニーランド」をゲストに見せないようにしていたのだが、最近は経済的事情が優先されるようで、オープンさせている。

どちらにしても、積もった雪は処理しなければならない。除雪作業を主に行なうのは、もちろんカストーディアルである。開園中は、デイ・カストーディアルが除雪を行なう。といっても、スコップを使うのは最後の手段であり、通常はプッシュブルームやスクイジーを使って、雪を集める、というよりも、こすりつけて溶かすといった方がいいかもしれない。

それでも間に合わないくらい降ってきたら、2輪カートや6ライナーカートにスコップで雪を詰め込み、バックステージへ捨てる。これでも間に合わなくなったら、閉園した方がいいんですが(笑)なかなかそうもいかないようで、最近は降り積もる雪を見ることができるようだ。雪が降った日はニュースなどで、雪の日のディズニーランドと、雪と戦うカストーディアルキャストを見ることができる。

でも、開園中の除雪作業はそれほど大変でもない。ゲストがいるので、大がかりに除雪することはできないからだ。問題は閉園後である。
閉園後の除雪作業は、ナイト・カストーディアルが中心になって行なう。ブルドーザーやショベルカーなどの機械と人による人海戦術で、一気に雪を殲滅するのだ。ただ、ナイト・カストーディアルだけでは数が少ないので、デイ・カストーディアルにも応援の声がかかる。

雪が降ると、オフィスから近所のキャストを中心に「今日出られるかな」という電話が来る。交通機関が乱れていて、キャスト数が確保できない場合と、あとは雪かき要員のためである。オープン中はカストーディアルキャストだけではなく、アトラクションキャストなどほかのキャストも雪かきのために召集される。アトラクションや店のまわりに積もる雪は、カストーディアルに任せる前に自分たちで処理しなければ間に合わないからだ。

「時給が2倍になるよ」という殺し文句に、参加するキャストは多い。実際深夜手当などが加算されるし、10時間以上の労働となるので、ふだんの2倍以上は稼げるのではないだろうか。しかし、実際に作業に携わった瞬間、多くの人が引き受けたことを後悔する。

真冬の深夜の東京ディズニーランドは、底冷えするほど強烈に寒い。(大晦日のカウントダウンに参加したことがあればわかると思うが)その上、雪と風である。雪かきはかなりの運動量になるはずなのだが、すぐに体温を奪われるので、寒さに震えながらの作業となる。カストーディアルは支給してもらった使い捨てカイロを懐に入れ、レインギアを身につけたフル装備で作業にのぞむ。

夜中のパークは開園中と違い、いつもの軽快なBGMはなく、建物の照明もほとんど消され、とても寂しい空間となっている。その中で夜間作業用の大型ライトが点灯され、その灯りの中で除雪作業を行なうことになる。

オンステージからバックステージへと続くベルトコンベアが設置され、スコップを片手に黙々と雪をベルトにのせていく。ベルトコンベアにのせられない雪はトラックや2輪カート、6ライナーカートなど、あらゆるものを使ってバックステージへと運び出すのだ。だから、バックステージには大きな雪山がいくつもでき、何日経っても溶けないまま残っている。バックステージの除雪は最低限しかやらないので、オンステージとバックステージの落差が笑えるほど、すごかったりする。

わたしは残念ながら雪の日の対応をしたことはないので、伝聞でしかないのだが、一度やった人は「もう二度とやりたくない」と必ず言う。

開園してから数年後、歴史的な大雪の日があった。夕方くらいから降り続いた雪はみるみるうちにパークを白い化粧で覆っていった。その日は平日で20時で閉園となったため、その日は雪に埋もれたTDLをゲストに見せることはなかった。
しかし、雪はどんどん降り積もってゆく。カストーディアルとレイバーのキャスト総動員で除雪作業を行なうが、降り積もる雪の量にはとても追いつかず、パークのなかでも5センチ以上の積雪があった。
それが明け方には止んでしまったのだ。この日の開園時間は9時から。それまでになんとか雪をパークから消し去らなければならない、と、作業が急ピッチで進む。地面だけではなく、屋根や木々に積もった雪も落とされ、雪に彩られたビックサンダーマウンテンなどのアトラクションからも、白い衣がはぎ取られていった。
オンステージから雪が消滅したことを確認した11時過ぎ、遅れて開園。交通機関も乱れる中で来園したゲストは、パークに足を踏み入れると、みんなびっくりしたという。パークの外は今だ雪が積もり、真っ白な光景を見せていたのに、一歩ディズニーランドへ足を踏み入れた途端、白い光景はなくなり、「いつもの夢と魔法の王国」があったのだ。ジャングルやアメリカ西部の町に雪などあるはずがないのだ。

また、雪が降って、とても開園できない状況があった。たしか、2日か3日間雪が降り続いたときだったと思う。積雪で停電したためということもあるらしいが、そのとき、それでも遊びに来たゲストがいた。そのまま帰すのは悪いと、入場料は無料にしてワールドバザールだけを開け、飲み物だけを販売したという。

最近は、雪が降っても東京ディズニーランドが休園するとか、閉園時間が早まったとか、開園時間が遅くなったという話を聞かない。そんなことをしなくても、雪に対処できる方法が見つかったのかもしれないし、「日本だから仕方がない」とディズニー社も黙認するようになったのかもしれない。

それでも、カストーディアルが除雪作業をすることは変わらないであろう。雪が降るとわたしは必ず考える。「東京ディズニーランドは、どんな状況なんだろう」と。そしてわたしは思い出す。カストーディアルとして働いていた日々を。

(東京ディズニーランドでの除雪の経験をもとにして作られたマニュアルは、今ディズニーランド・パリで使われているという)

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スイーピングマジッククラス

カストーディアルの技が見られなくなって久しい、といわれる。しかし、それを憂い、どうにかしなければならないと考える現役キャストもたくさんいるのだ。
それは現場のキャストだけでなく、一部の社員も同じように思っている。(カストは掃除がメインなのだから、目立つな、という社員も多いが)

その現れの一つとして、今年のはじめ頃、東京ディズニーシーのカストーディアルでは、一つの動きがあった。

「ゲストからかっこいいと言われたい! 私、魔法が使えるのよと言いたい! 君も参加しよう!」

そんな合い言葉のもと、一つの教室が開講された。

「スイーピングマジッククラス」

そう、カストーディアルの「魔法」を復活させるための教室だった。
トレーニングではなく、あくまでも自主的な教室であった。……もちろん、運営会社というか、カストーディアル部で主催しているのだが、強制ではない。だいたい土日に開催されたらしいが、あらかじめ申し込んだ参加者は、仕事終了後にバックステージで行なわれた教室に参加した。
基本的にはプロ級のスイーパーが参加者に技を教えるというスタイルだった。
第一回目のテーマは、「歩きながらスイーピングができるようになる」
正しいトイブルームとダストパンの持ち方など、初心者向けのものだったという。っていうか、そんなこと、トレーニングで習わないのか?……。

それはともかく、それから、この教室で基本的なスイーピングから、いろいろな技を講師役のキャストが見せてくれたそうだ。それだけでも、けっこう楽しいと思うのだが、ベテランキャストのスイーピングを新人キャストが間近で見られて、やり方などを教えてもらえる機会があるというのは、本当によいことだ。
本来は、エリアの中で仕事中、さりげなく技などを教えてもらいながら、新人が成長していくような形がよいのだが、昔のようにキャストが多くなく、ベテランキャストと一緒に仕事をする機会が少ない今、こういった教室の存在は貴重だろう。

こんな教室が公に開催されるということは、何を示すのか。運営会社がカストーディアルが「技」を使うことを、公に認めたということになるのだ。
もちろん、トイブルームをとばしたり、ごみをキャスト同志でとばしあったりするような技はオンステージでは認められないだろうが、「踊るように」といわれた、東京ディズニーランドのカストーディアルの技……動きが公式に認められたのだ。
踊るようにスイーピングしていた、パーク開園以来のキャストちのほとんどは引退しているが、その人たちによって技を教えられた人の一部はまだ、東京ディズニーリゾートの中に存在している。

会社が認めれば、技を伝承された人によって、もっとおおっぴらに、後輩キャストたちに技を伝えていくことができる。
そして、オンステージで堂々と技を披露することができるのだ。

スイーピングマジッククラスが現在も開講されているかどうかはわからない。少なくとも、ディズニーランドのキャストに対しては開講されていないようだ。

たとえ、一時的なものだとしても、この教室によって、多くのカストーディアルに、昔の技……カストの心意気でもいい……その一部でも、伝われば、まだまだカストーディアルはいける。永遠に完成しないテーマパークの一翼を担えるはずだ。

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