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カストーディアルから何を学ぶのか

これまで、
「カストーディアルは道徳的か」
「カストーディアル・キッズ」で、カストーディアルと教育について書いてきた。
とくに、「カストーディアルは道徳的か」で書こうと思い、学習指導案として後日アップしようと思っていたことが、東京ディズニーリゾートのサイトに掲載された。
「カストーディアル・キッズ」のところでも触れた、出張授業のことである。私が最初に得た情報は非公式なものだったので細かくは書けなかったが、こうやって公になった以上は、触れてもよいだろう。

【キャストになりきってお掃除を体験学習】
この授業が、ネット上にあがっている「カストーディアルを教材とした道徳教育」より優れている点は、本物が登場すること、本物の素材を使うこと、実際の掃除体験を行うことだ。(それは敵うはずないか)
それ以外で優れている点について述べる。

1.導入の時点で、児童の身近な問題と対比させていること
最初からカストーディアルが掃除をする人であることを伝える(コスチュームを見れば、遊びに行ったことがある子供はわかるか)そのうえで、自分たちがいないとどうなるかを問う。当然汚くなるといった答えが返ってくる。「みんなもきたない教室じゃいやだよね」といえば、そうだと答える。ここで、カストーディアルが身近な存在、大切な存在であることを簡単に教えることができる。それから、カストーディアルの仕事について、具体的に説明していくのだ。

2.体験させること
スイーピング(掃き掃除)の実演をしたあと、児童たちにも体験させている。座学ではなく、実際に体験させることは、道徳教育ではとても重要なことではないか。
たんに体験させるだけではなく、みんなで協力することで、早く終わらせることができるし、どんなに汚れていてもきれいにすることができる、ということも実感させている。
道徳の授業で、ネットであふれているような授業をして、そのあと帰りの掃除で教室やトイレを掃除したとき、ほとんどの児童は「ディズニーランドじゃないものな」と思うのではないか。
本物を呼ぶことができなくても、実際の毎日の掃除とうまく話をシンクロさせることができれば、きっと効果はあがるだろう。
……もちろん、今回のプログラムは公共心をあげることでも、勤労について学ぶものでもなく、どちらかというと環境教育のようだが。

……あとは、分別とかまあ、どうかなという結論でもあるが、出張して行うオフィシャルな活動としては、よくまとまっているのではないか。カストーディアルも児童たちの掃除もおんなじなんだよ、ということはわかりやすく伝えていると思う。

運営会社による授業のわりには、本当によくできている。とくに優れているのは、カストーディアルを特殊なものとして紹介するのではなく、みんなと同じことをする仕事なのだ、というとらえ方をしていることだ。
外部の人がディズニー……キャスト……カストーディアルについて教育や講演に使うとき、だいたいが特殊なもの、独自のものとして捉え、扱うことが多い。その話を聞く、あるいは授業を受ける方も、「ディズニーだからね」という受け方になりやすい。

たとえば、ディズニー・インスティチュート著:「ディズニーが教えるお客様を感動させる最高の方法」でも最初に書いてあるが、「どんな業種にもマジックが必要」として、どの組織も抱えている問題は、ディズニーも同じように直面している問題なのだと書いてある。(もちろん文章の趣旨は違う意味なのだが)
キャストとして働いたこことがある人ならわかるだろう。やり方は違うかもしれないが、取り組む目的は遊園地、レジャー施設……いや普通の会社と同じなのだ。
カストーディアルは、掃除をする仕事だ。それはどこの企業でも、いや自宅だって、行なわれている仕事なのだ
「ディズニーランドって、すごいよね。たとえば掃除。赤ちゃんがハイハイしても汚れないくらい綺麗にするんだってさ」
というのと、
「掃除しないと汚れちゃうよね。ディズニーランドがいつも綺麗なのは、カストーディアルが掃除しているからなんだよ。だから、掃除は大切なんだよ。ただ、ちょっとみんなと掃除の仕方が違うんだ。それはね……」
というのと、どちらに説得力があるだろうか。子どもにとっては、どちらに学ぶべきことがあるだろうか。
大人にとって、「ちょっと違うやり方」の方がきっと興味深いだろう。
今、ネットにあふれているカストーディアルを題材とした道徳教育の学習指導案は、大人の視点なのだ。

……今回、「学校とのコミュニケーション」で展開された特別教育プログラムや「ディズニーアカデミー」などの有料プログラムでの取り上げ方は、カストーディアルを教育の教材として使う場合の良例なのではないだろうか。
運営会社もカストーディアルが「教育の素材」として優れていることに気づいているようで、「ミニ知識」などてカストーディアルの仕事をあちこちで引用している。

東京ディズニーランド開園時、ふつうの遊園地とは違う代表例として、カストーディアルが一時期、広告塔のようにマスコミに登場したことがある。
ここ十年以上、すっかり影が薄くなりつつあったカストーディアルか、「教育」という部分でクローズアップされているというのは、なんともおもしろい現象だ。
一方で、スイーピング認定会を内部で行なうなど、カストーディアル自体もまた変わりつつある。

25周年を迎える東京ディズニーランドで、ゲストは、カストーディアルを見てこれから何を学び、感じるのだろうか。

※あれ、「TDRの影を踏んで」で扱う話だったかな。

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