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パレード先導

昔、ウェスタンランドとファンタジーランドでカストーディアルをやっていた人に、一番の想い出はと訊いたら、おそらく多くの人は「パレード先導」と答えるのではないだろうか(かなり、昔の人だけれど)
「パレード先導」とは言葉のとおり、パレードの先頭に立ってスイーピングしていくことである。昼のパレードでは、『東京ディズニーランドパレード』、『ディズニー・クラシックス・オン・パレード』、『ディズニー・パーティグラパレード』、『ディズニー・ファンタジー・オン・パレード』、夜のパレードでは、『東京ディズニーランド・エレクトリカルパレード』で行なわれていた

パレードにカストーディアルの先導があるなんて、かなりなTDLマニアでも知らないであろう。
具体的に何をするのかというと、2人のスイーパーがパレードのスタート地点からパレードの先頭フロートが最終地点に到着するまで、パレードの先頭からだいたい10メートルから20メートルくらい先を、パレードルートの両端に分かれて歩くのである。
そして、パレードルートに落ちているポップコーンなどを掃きとっていくのだ。パレードの露払いみたいなものである。ときにはパレードを待っているゲストからゴミを渡されたり、あと少しでパレードがくるというのに、ゲストがジュースをこぼして慌てて処理したりと、けっこう大変なのだ。それも、一応「見せ物」になるため、ある程度きちんとスイーピングができないと、スイーパー本人が恥ずかしい思いをすることになる。

とくにエレクトリカルパレードのときは、パレードを撮影しようとするフラッシュで目がくらむほどであった。生涯でフラッシュをあれほど浴びる経験は、何か悪いことをするか、芸能人としてデビューでもしない限り体験できないであろう。ただ、実際ゲストはパレードに集中しているため、カストのことなんて視界にも入っていないだろうし、もし見たとしても、パレードを先導しているとは思わないかもしれない。

スタート地点で音楽が始まり、扉が開くと同時に、先導のカストーディアルも歩み始めた。昼のパレードのときは、スタート地点の大きな扉の裏から、先頭のバンドの演奏とともに、パレード音楽が始まるのをききながら、歩みを始める。

『ディズニー・クラシックス・オン・パレード』の最初の頃までは、パレード先導は6人くらいでやっていたようである。それが2人になったのは、パレードが始まる直前までパレードルートではカストーディアルが清掃活動をしているので、そんなに人数がいなくても対応できるということはあるのだろう。

パレード先導は、ウェスタンランドとファンタジーランドから一人ずつ選ばれた。パレード時には、スイーパーはそれぞれ「パレードモップ」や「パレードプッシュ」、「パレードダンプ」など、パレード終了後の後処理の役割がわりふれられるのだけれど、パレード先導は本来その一つ。ただ、パレード先導はやはり特殊なお仕事なので、毎日ささやかな一喜一憂が繰り広げられる。中には先導好きな人もいるのですが、だいたいは選ばれると「えーやだな」という人が多い。見せ物になるのがいや、ということなわけだ。でも、たとえば今日で退職するというとき、花道として「パレード先導」になることも多かった。先導は、ゲストだけでなく、カストからも注目されるので、照れくさい仕事でもあるが、ふだんはあまり目立たない(はずの)カスト一番の花形仕事といえたのだ。

エレクトリカルパレード最後の日の最後のパレードをみたとき、私はフロートよりも、先頭に立つスイーパーを見て、胸をキュンとさせたことを思い出す。

最近は、東京ディズニーシーでときどき行なわれる陸上パレードでパレード先導が復活したこともあるけれど、東京ディズニーランドでは、パレード先導はすでに滅び去ってしまったようだ。

パレードの先頭をカストーディアルが歩いたのは、パークの清潔さを正面に出すためといった部分が大きかったのだと思う。それがすでに多くのゲストに知られている今、必要ないということかもしれない。たしかに、実用的には何の意味もないものだから。

それでも、復活してほしいと思う。

ふだんは、オンステージで地味な役割をしているカストーディアルが唯一、ゲストに対してアピールできる舞台なのである。パークの清潔さを維持しているキャストとして、ある意味、一番パークが汚れるパレードで、その守護神であるということを、たとえ、ゲストが気づかないとしても、いや、気づかない存在としてでもいいから、先導させる役目を復活させてほしいと思う。

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