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夏はプロの季節

カストーディアルでもっともつらい季節は夏だろう。
連日、日中30度を越す中、カストーディアルは直射日光を受けながら歩き回らなければならない。とくに、開園から夕方まで働くキャストは大変だ。休憩を挟んだとしても、だいたい二時間は連続して日光を浴び続ける。ただでさえ暑いのに、ディズニーランドの地面(スラリー)はとくに照り返しが強く、実際の気温よりもかなり暑く感じるのだ。
そのため、脱水症状を起こし、仕事中に倒れてしまうキャストもときどきいる。(最近ペットボトル携帯が許可されたという噂を訊いたが、本当だろうか。バックステージへ帰って水を飲む方が冷たいものを飲めると思うし、ちょっとした休憩にもなるのだが)
陽射しが強く照り返しもあるということは、かなり日焼けをするということでもある。夏以外でも屋外の仕事なのでもちろん日焼けはするのだが、夏はとくに激しい。それも、肌が露出しているところだけが焼けるので、焼けていない部分との落差はかなり激しくなり、海やプールには恥ずかしくていけないくらいだ。(現役のみなさん、カストで焼けた肌の色は一生とれません。……腕の焼き色はカストだったという刻印のように)

一方で仕事は他の季節とは多少違う。チリトリ(ダストパン)とホウキ(トイブルーム)をもって、ゴミを掃く機会はあまりない。夏はポップコーンが売れないので、それほどゴミは落ちていない。
そのかわり、ジュースやアイスがかなり売れるため、反対に増えるのが「こぼれもの」である。ジュースを地面にこぼれ、一面を濡らす。
溶けたアイスが点々と痕を作る。アイスの固まりが落ちていることもある。その対応にカストーディアルは追われるのだ。リンガーセットと呼ばれる車輪のついたペールにモップ、ときには地面を擦る道具も入れて、あちこちを徘徊し、こぼれものを見つけると素早く対処する。
また、普通にダストパンとトイブルームを持ったスイーパーも、こぼれものをみつけると、ポケットに入れた紙タオルでふき取ったりして対処する……それが主な仕事になってしまうのだ。本当はトイブルームを華麗に動かして、ゴミを掃き取りたいカストーディアルにとっては、大変つらい仕事である。

ジュースがたくさん売れるということは、かさばるゴミが大量に発生するということでもある。トラッシュカン(ゴミ箱)はあっという間にゴミで溢れてしまい、ゴミ回収がなかなか追いつかない。
そこで、スイーパーは自分の担当エリアのトラッシュカンをこまめにチェックして、あふれそうだったら、中をあけて中身を整理し、押し込んで、溢れないようにするのだ。手はジュースなどでベタベタになる。ペットボトルなど燃えないゴミが捨てられていたら、取り出して、ゴミ受けの横に置いておく。
ときには、ディズニーランドに存在するはずのないものが捨てられていることもあって、うぉぉ、と叫び声を上げたくなることもある。カストーディアルは耐える仕事なのだ。

そんな作業を繰り返しながら、暑さにぐったりとしながら、汗をたくさんかきながら、ふらふらとエリアをさまよっていても、ひとたびゲストから声をかけられたら「はい、こんにちわ。どうかなさいましたか」と笑顔で応対することができるのが、プロのカストーディアルと言える人なのだ。それはベテランでもできない人はいるし、夏に入ったばかりの新人でもがんばっているキャストはいる。

この夏、東京ディズニーリゾートで、どれだけのゲストがプロのカストーディアルキャストに出会えたのだろうか。

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