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カストは写真の専門家

ウォルト・ディズニーはいう。
「遊びに来たとき、せっかく楽しい想い出を残そうと写真を撮影するけど、写真を撮影する人が写らないのはさびしいではないか」(というような意味の話だったと思う。不正確な引用ですが)
キャストは採用されたあとの一番最初のトレーニングの中で、写真の撮影について、ディズニーの言葉を引用しながら指導される。
だからディズニーランドでは、キャストが写真を撮影してあげる、ということになったのだそうだ。しかし、個人主義というか、むやみに知らない人に荷物を受け渡すということを好まないアメリカでは、めったなことではキャストから「写真をお撮りしましょうか」とはいわない。ゲストから頼まれれば、どんなに忙しいときでも撮影するということになっている。

一方日本では、国民性を考えて、頼まれるのを待つだけではなく、積極的に「写真をお撮りしましょうか」と声をかけるようにキャストは指導されている。たとえば、家族連れが写真を撮ろうとお父さんがカメラをかかえている姿を見かけたら、声をかけなさいということになっているのだ。
もちろん、声をかけないといけないというのではなく「そういう状況で、お父さんだけ写真に入らないことをどう思う?」とキャストとして考え、その結果どういう行動をとるのか、ということなのだが。

では、ゲストの写真を一番撮影しているのは、どのキャストであろうか。セキュリティーも多いかもしれないが、一番はカストーディアルである。写真だけではなく、ゲストに一番声をかけられるキャストなのだ。なぜかといえば、一番人数が多いというのもある。もう一つは、常に移動しているので、見つけやすいということもあるだろう。ゲストの間をぬけながら掃除をすることも多いので、声をかけやすいということなのかもしれない。

カストーディアルというか、キャストとしての写真を撮影するコツをここで公開。

1,かならずしゃがんで撮影すること。
しゃがんで撮影する方が広角で撮影できる。とくに「シンデレラ城を全部いれて撮せ」という場合は有効だ。

2,大きな声で合図
「それでは、いきます。・・・・はいポーズ」という声をかけるとき、まずは左右を見渡して、人がカメラ前を横切る可能性がないことを確認する。とくに人の往来が多いところで撮影する場合は、大きな声で合図して、これから撮影することをまわりにアピールする。そうすれば、だいたいの人は足をとめて、見守ってくれる。その瞬間を使って、一気に撮影するのだ。

ちなみに、TDLでキャストが撮影する際にいう言葉は、
「はい、ポーズ」
「はいチーズ」が主ですが、
「1+1は?」「2(にこっ)」
「1+2は?」「ミッキー」
なんてものもあるようだ。

カストーディアルはついつい、フォトスポットと呼ばれる場所も清掃をするため、そこを通過しなければならない。そんなときに「写真を撮ってください」といわれ、カメラをかまえようとすると、すでに他のゲストが列を作っていたというのはよくある話である。

一番つらいのは、ワールドバザールの前、エントランスを入ったところのハブである。そこは、よくキャラクターが出てくるので、写真を撮ろうと多くのゲストがうろうろしている。その場所を担当になったカストーディアルはキャラクターの近くにはなるべく近寄らないようにはするのだが、ゴミがあればいかなければならないのがカストーディアルの悲しい性。あそこでゲストにつかまったら、キャラクターが消えるまで逃れられないらしい。

シンデレラ城前もつらいらしい。
とくにつらいのがクリスマスの時期である。シンデレラ城横、白雪姫の井戸があるあたり。わたしが知っている限りでは、クリスマスイブの夜、たまたま通りかかったカストーディアルがゲストに撮影を頼まれた。神秘的に輝くお城を背景に撮影してほしいということ。終わってふと振り向くと、ゲストがすでに自主的な列を作っていた。列はどんどんのび、ウェスタンランドとプラザをつなぐ橋まで伸びたが、夜のパレードがまもなくはじまり、じゃまになるというので、列の最後尾にゲスコンのキャストがつき「ラインカット」つまり、もう並ばないでください、という案内がでたということがあった。終わるまで1時間ちかくはかかったらしい。
アメリカ河も夜は危険である。ふだんもカップルが潜んでいるのだが、クリスマス時期はカップルだらけ。

カストーディアルの中には「撮影好き」な人もいて、声をかけまくる人もいる。声をかけられたゲストはたいがい、「お願いします」というのだが、中には「いえ、けっこうです」と断る人もいて、がっかりすることもある。たまには「写真いいですか」といわれて、カメラを渡されるのかと思ったら「一緒に写ってください」といわれて、ゲストと一緒に写ったりすることもある。
……クリスマスはちょっと避けたいのだが、写真撮影はキャストとしての仕事の中でも、楽しい仕事の一つであろう。

そういえば、いつぞやの春先、友達とインパークしたときに、こんなことがあった。
ウェスタンランドでお城を背景にデジカメで写真をとってもらうと、キャストを探したところ、カストーディアル二人組をみかけた。みたところ、先輩カストーディアルと新人さんという感じであった。わたしは、新人さんらしい人にデジカメの操作のしかたを教えて写真を頼んだ。「え、あ、はい」と見るからに慌てていたそのカストーディアルはカメラを受け取って「はいポーズ」と、撮ってくれた。
不安になって、プレビューで見たら、画像がぶれて写っていた。もう一回撮ってもらおうと、そのキャストを見たら、にこにこしながら先輩キャストに話かけていた。おそらく、初めての撮影だったのだろう。わたしたちは、何もいわずに立ち去った。

こうして、キャストは誰もが写真撮りの名人となっていくのでしょう。

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