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雨のエリアは

スイーパーでもっとも大変な作業といえば、雨があがった後の残水処理、拭きあげ作業だろう。スタンダードを大切にするディズニーランドでは、雨が上がった瞬間から、雨が降っていなかったかのような状態に戻さなければならないのだ。
雨がやみそうになったら、カストはバックステージに戻り、着ていたレインギア(雨具)を脱ぎ捨て、バケツにぞうきん、水切り用のガラススクイジーや雨水を吸収するスポンジ等を持ってエリアに散る。それ以外のキャストはフロアスクイジーを持って、地面の残水処理のために出動する。

そのとき配置されているカストの数にもよるが、一番に最初に対応しなければならないのが、濡れたベンチとトラッシュカン(ゴミ箱)の拭きあげ、そしてパレードルート部分の地面の残水処理だ。

ベンチはとくに、ゲストがすぐにでも座れるために最重点に拭き上げる。ついでにトラッシュカンも拭くという具合だ。それが終わったら、手すりなどを拭いてゆく。
一方地面の残水処理はパレードルートから行なう。これは、人通りがもともと多い部分であること、パレードに対応するため、そしてなによりも、パレードルートから雨水がほかへ流れるような構造になっているためである。
ディズニーランドの地面は微妙に傾斜がついていて、各所に設置されているドレーン(排水口)に雨水が流れるようになっている。カストはフロアスクイジーを使って地面をなでることにより、排水を後押ししているわけだ。

方法論などは、べつの機会に語るとして、これらの作業は本当に大変だ。

まず、雨がいつ止むかがわからない。オープンキャストしかいないときに雨が止んだら、最悪である。少ない人数、たとえば5人くらいでアドベンチャーランドのベンチとトラッシュカンを拭きあげながら、地面の残水を行ないつつ、レストやダンプは行なわなければならないとしたら、経験者ならわかるだろうが、ブレークもとれない忙しさである。(アドベンチャーランドはとくにベンチとトラッシュカン、手すりが多いのだ)

人数がたくさんいるときでも、社員がきちんとした割り振りをしないと、誰が地面の残水処理をして、誰がベンチを拭くのか、混乱する。その間に、濡れた部分が強烈な陽射してで乾いていくこともある。

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地面の残水処理は、とくに大変だ。地面には微妙な傾斜がついているといったが、これは場所によって細かく傾斜が違っている。だから、残水処理するには、どこをやってから、次はどこと順番が決まっていて、その順番通りにやらないと、残水したはずの雨水が逆流してしまうのだ。そして、自分が配属されているランド内の地面の傾斜すべてが頭に入っているカストはほとんどいない。長くやっている人でも、そのランドのメインの部分とその周辺くらいしか知らない人も多い。だから、知っているキャストが先頭になってやらないと大変なことになる。(社員だから知っているとは限らない。というか知らない)

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拭きあげの場合、ゲストは早くベンチに座りたいわけで、その期待に応じなければならない。なかには濡れているベンチに座ってしまうゲストもいる。そのゲストにどいてもらいながら、ベンチを拭いていく。かなりの体力を使う仕事である。いっぽうで拭きあげに集中していると、エリアが汚れてくるのだ。

レスト(トイレ清掃担当)も大変である。レストルーム(トイレ)の前に敷いたレインマットをひきあげなければならない。かなりの重量なので、敷くのも片づけるのも大変なのだ。

悲しいのは、残水処理、拭きあげ作業の最中にまた雨が降ってくることである。今までの苦労は水の泡。降ったりやんだりという天気のときは、カストーディアルキャストの機嫌は最悪なので、声をかけない方がいいかもしれない。

一方で雨がずっと降り続いているとき、カストーディアルの作業は楽である。ポップコーンなどが売れないのでエリアは比較的きれいになるからだ。一方で仕事が単調になる。ただふらふらとエリアを歩き回るだけで、掃きとるゴミも見つからない。しかたなく、エリアの中で水がたまりやすい部分で、スクイジーやプッシュブルームを使って、ただひたすらそこの水をかき出し続けることもする。お店の中の床をモップで拭いてまわるという仕事もある。エリアの端から、ビッグサンダーマウンテンなど人気のアトラクションの入り口まで、ただスクイジーをかけるということもある。無意味のような気もするが、多少地面の水がはけているような気はする。
レストルーム担当の人は大変だ。トイレの床が濡れるので、こまめにモップで拭かないといけないからだ。

一度、雨の中、大臣が視察にきたというので、スクイジーで先導したことがあった。大臣が歩いた地面は雨も溜まってなく、すんなりと歩けたはずだ。ウェスタンランドから、スモールワールドの入り口まで。ゲストはすべてVIPやないんかい、と憤慨しながらスクイジーをひいた記憶がある。

雨の日でカストにとってうれしいこともある。それは勤務解消である。梅雨時はとくに多いのではないか。勤務解消とは、「予想より混んでないし、エリアもきれいだし、カストの数がちょっと多いなぁ」というときに、勤務予定時間より早く帰っていいよ、といわれることだ。その場合、本来働く時間で解消になった時間は、半分の時給が出る、つまり働かなくてもお金がもらえるのだ。

雨といえば、残水以外でいろいろな苦労もする。某アトラクションで雨漏りだ、とカストがその屋根裏に呼ばれて、モップでふいて、ベールを設置したこともあった。突然の夕立でびしょぬれになったまま、雨具をつけて仕事を続けたこともあった。落雷で突然停電になって急遽TDLの営業が終了したこともあった。雨の中、夜のパレードを強行して、電球を破裂させ、猛スピードで通り過ぎるフロートを見ながら、いつもよりずっと早くパレードが終わって、あわてて後処理にいったり。豪雨で京葉線が止まって、帰れなくなったり……。

今でも雨が止むと、TDLでの残水作業を思い出して、なんとなくため息をつく。

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ディズニー系bloggerというか、ココログやっている人発見! 勝手にリンクし [続きを読む]

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